トラック業界の労働市場で雇用のミスマッチが生じている。ドライバー不足を感じている事業者が5割程度いる一方で、雇用調整助成金の活用および活用を検討する事業者の割合も5割弱にのぼる。景気の不透明感はあるものの、荷動きが回復基調に向かう中、トラック業界全体としては人手不足であるにもかかわらず、休業などの雇用調整が行われている実態がある。手厚い支援制度のもとで、トラック業界内で雇用のミスマッチ解消や労働力移転が進まないという課題も透ける。(カーゴニュース)
雇調金活用は5割弱で推移
特例延長要望も
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、休業などの雇用調整を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するもの。事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も、雇調金の支給対象となる。
コロナ禍を受け、2020年4月から雇調金の助成率や1人あたりの日額上限額を引き上げる特例措置が設けられ、21年11月30日までの延長が決定している。7月23日時点での雇調金の支給決定額は4兆円を超え、財源の枯渇も指摘されており、雇用保険料を引き上げる検討も始まった。
国土交通省の調査によると、8月時点でトラック事業者の雇調金活用状況は、給付済みが40%、申請済みが2%、検討中が4%で、ほぼ5割弱で推移している。輸送品目や活用終了・活用開始については調査していないが、全日本トラック協会が8月時点でも雇調金特例措置の延長を要望していることからしても、依然として利用ニーズは高いと想像できる。
出典:国土交通省 拡大画像表示