「育てる」のではなく「育つ」しくみをつくる

会社や上司が人を「育てる」のではなく、本人が自発的に「育つ」

ここが重要です。

「環境が人を育てる」

これは、サイバーエージェントの社長の藤田晋(すすむ)の言葉です。

「誰かをマネジャーに抜擢すると、その人はマネジャーの仕事を一生懸命やるようになり、結果として人が育つ。だから(経営は)『人が育つ環境』をつくらなきゃダメだ」

藤田はこのように話しては、「人が育つ環境をつくろう」といつも私に話しています。

働き方の選択肢も増えた今、社員一人ひとりの自由度が高まっています。

こういう時代において必要とされるマネジメントは、部下を細かくあれこれ管理するマイクロマネジメントではありません。

リモートワークが増え、個々の働き方や組織への貢献の仕方も多様化している中でマネジャーに求められているのは、必要に応じて適切なタイミングで支援(サポート)をおこなうことです。なぜならば、これさえできれば若手は自ら育つからです。

自らの判断で積極的に仕事を進める、「自分」で「走っていける」環境(自走環境)をつくる。

これからの若手育成のカギであり、マネジャーに求められる仕事でもあります。

※本連載では、若手はもちろんのこと、年齢や経験に関係なく、誰もが加速度的に「(勝手に)育つ」方法についてシェアしていきます。(次回は11月26日公開予定)

曽山哲人(そやま・てつひと)
株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO 曽山哲人氏

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服部門配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、社員数が20人程度だったサイバーエージェントにインターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任。2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員、2016年から取締役に再任。2020年より現職。著書は『強みを活かす』(PHPビジネス新書)、『サイバーエージェント流 成長するしかけ』(日本実業出版社)、『クリエイティブ人事』(光文社新書、共著)等。ビジネス系ユーチューバー「ソヤマン」として情報発信もしている。

2005年の人事本部長就任より10年で20以上の新しい人事制度や仕組みを導入、のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わる。毎年1000人の社員とリアルおよびリモートでの交流をおこない、10年で3500人以上の学生とマンツーマンで対話するなど、若手との接点も多い。