インテリアはアッパー部がカローラシリーズ共通形状。ロア部は全高アップに対応したカローラクロス専用デザイン。セダン/ツーリングに対してコクピット感覚は薄れているが、スッキリとまとめられ、質感は高い。ただしエクステリアとのバランスを考えると、ステッチや素材、カラーなどに、もう少し“SUVらしい”演出がほしいと感じた。

 ドライビングポジションはアップライト。ヒール・トゥ・ヒップポイントはセダン/ツーリングより55mm高い。視界がワイドなだけでなく、これが後席の足元スペース拡大にプラスをもたらした。実際に後席に座るとホイールベースが共通のセダン/ツーリングより広く感じた。ウィンドウ面積が大きいことと大型パノラマルーフ(op)の設定などもあって、開放感は非常に高い。

 ラゲッジ容量はクラストップレベルの487Lを確保する。深さがあるうえ、ホイールハウスの出っ張りは最小限。実際の積載性、使い勝手に優れている。ディーラーopのラゲージアクティブボックスを利用すると、後席を倒した場合の荷室フロアがフラットになる。また、荷室を上段/下段に分けての収納にも対応。利便性だけでなく防犯上も役立つ。こうしたアイテムはオプションではなく、標準化してほしいと思った。

満足感の高いパフォーマンス
自然なハンドリングが好印象

 エンジンはハイブリッドが1.8L(98ps)+モーター(72ps)、ガソリンはバルブマチック採用の1.8L・NA(140ps)。ともにセダン/ツーリングと共通ユニットだが、制御の最適化とファイナルのローギアード化(タイヤ外径アップの調整)が行われている。

 大きめのボディサイズなので、試乗前は動力性能に物足りなさを感じると思っていた。だが、実際は違った。パフォーマンスは“これで十分満足!”といえる。走りがいい秘密は車両重量にありそうだ。Zグレードの車重は1410kg(ハイブリッド)。ツーリング比で20kg(パノラマルーフ付きは40kg)増と、見た目よりも軽量設計なのだ。

 ガソリン車は実用域を重視したセットアップとCVTの巧みな制御で、街中ではスペック以上に活発な印象。とはいえ、高速道路の追い越し時/山岳路などはもう少し余裕がほしいと感じた。

 一方、ハイブリッドは応答のよさや力強さという点で、明確なアドバンテージがある。発進時だけはセダンやツーリングより穏やかなフィーリングだが、このあたりは燃費を意識した制御なのだろうか。試乗時の燃費は、通勤時間帯の首都高速で30km/Lを超えた。WLTCモード燃費の26・2km/Lを大幅に凌駕したのだ。このクラスとしては驚異的である。

 フットワークはどうか?プラットフォームはカローラシリーズ共通のTNGA、GA-C型。FF車のリアサスは新開発のトーションビーム式。4WD用のダブルウィッシュボーン式と比べるとスペックダウンのイメージがあるものの、開発陣は「実用域を重視」と「気持ちのいい乗り心地」を目指しセットアップを施したと語る。

 ハンドリングは素直。身のこなしの軽快性や操作に対する確かな応答性、そしてロールを抑えた自然なクルマの動きなど、改めてGA-C型の基本性能の高さを実感した。