「コンサルキャリア」は
万能薬ではない

 コンサル業界が多くの方に門戸の開かれた業界であることがお分かりいただけたかと思います。また、経営幹部や起業家を目指す方にとっては、コンサルティングファームでの経験は、ネクストキャリアを飛躍させてくれる魅力的な業界ではあります。しかし、コンサルティングファームへの転職が、どなたのキャリアにとっても「正解」なのかというと、当然ながら答えはNOです。

 コンサルティングファームに入社すれば、クライアント企業の問題解決のために全力を尽くすプロ意識が問われ続けますし、スキル習得に向けた努力も不可欠で、ハードワークとなります。仕事へのモチベーションの高さによって合う、合わないが分かれる業界です。

 そもそも、どのようなキャリアを積むべきかは、目指すゴールとなるキャリアビジョンや目的によって変わってきます。営業職の方が高いコミュニケーション能力を生かして収入を上げたいと考えるのであれば、コンサル業界ではなく、M&A仲介業界へ転職するのも有力な選択肢となるでしょう。将来、起業したいと考えるのであれば、ベンチャーキャピタルも素晴らしいキャリアとなるでしょう。昨今は、社会課題解決に関心を持つ優秀な方も多くなりました。そのような皆さんは、デジタルやバイオなどのテクノロジーを軸とした社会課題解決系スタートアップの事業開発などのポジションもフィットするかもしれません。

 実際、「コンサルティングファームに入りたい」と相談に来られた方が、キャリア設計を経てそれらの企業を選択するケースも多々あります。

 まずは、自分が何を成し遂げたいかという「キャリアビジョン」とその実現に向けてどのようなキャリアを積み重ねていくべきかという「キャリア戦略」を考えたうえで、転職する業界や企業を検討していただくことが大切です。会社のブランドや世間体、目先の年収UPなどではなく、ご自身の中にある価値観を大切にして選択することをお勧めしたいと思います。