2パターンの表紙、それぞれに込めたコンセプトは?

 WEBサイトを制作する広報メンバーには、たとえば、こんな声があった。

「コロナ禍での就活は先輩や友人に話を聞くことがあまりできないため、就活は孤独なイメージです。だけど、そんなときに『この手帳を創ったのは同じ就活生だよ』ということを伝えたい」「手帳は自分の行動や考えを記していくもの。だから、この手帳がいままで頑張った自分の証しだと思って、自信を持って就活を続けるためのツールにしてほしい」

 23卒手帳の制作における試行錯誤や奮闘ぶりは、広報メンバーが創り上げたWEBサイト「シン・就活手帳プロジェクト」の「制作レポート」ページ*6 に詳しいので、そちらをご覧いただきたい。また、WEBサイト内の「シン・就活手帳まるわかりガイド」からは、表紙・中面のデザイン、カレンダーのウィークリーページ、マンスリーページの日付や記入欄の大きさといった構造、メモ欄の罫線に至るまで、学生たちのこだわりが細部に宿っていることが分かる。サイト自体も、イラストの配置や写真の見せ方といったこだわりにあふれ、分かりやすく見やすく、学生らしい感性にあふれている。

*6 特設サイト シン・就活手帳プロジェクト 制作レポート

 WEBサイトの制作を中心に広報メンバーをディレクションした内田菜津子氏(タイムシェア)はこう振り返る。

「手帳のキャッチコピーやサイト創りのためのディスカッションでは、就活生ならではのさまざまな視点からの発言があって、プロジェクトメンバーそれぞれの考えや思いがクリエイティブに確実に反映されていきました。サイトには就活生のみなさんに見てほしいコーナーがたくさんあります」

就活生たちが、“就活で使いたい手帳”を、制作のプロと一緒に創った![シン・就活手帳プロジェクト]のホームページ。「メンバー紹介」ページでは、プロジェクトに対しての想いはもちろん、多様な個性を持ったメンバーであるということを打ち出す意図で「好きな○○ベスト3」といった項目も掲載。それに沿ったメンバーたちのポーズにも注目。「就活生の悩みを就活のプロに聞きました!」ページは、就活生のリアルな悩みや想いが質問になっている。
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 メンバー募集時に集めた「理想の就活手帳アイデア」に加え、22卒手帳がどのように使われているか、また、昨年のプロジェクトメンバーによる振り返りの意見も参考にして、やがて、23卒手帳は完成した。

 最終的には、表紙は2パターン(それぞれがリバーシブルデザイン)となり、「印刷も製本も然るべき時間をかけて、慎重に行いました」と、プリンティングディレクターの花木俊介氏(ダイヤモンド・グラフィック社)は語る。

「黒系」の表紙は「集中」をテーマにしたクールでカッコいいデザインで、「茶系」の表紙は「情熱」をテーマにした元気とやる気を引き出すデザインになっている(WEBサイト内の説明より)。

 さらに、この「シン・就活手帳」には、22卒版・23卒版ともに、特筆すべきコーナーがあることも忘れてはならない――「就活ナビゲーション byダイヤモンド就活ナビ」だ。

 企業分析・インターンシップ・面接のポイントからビジネスマナーまで、「シン・就活手帳」初出の、就活に役立つオリジナル情報が約50ページにわたってまとめられている。23卒手帳では、プロジェクトメンバーの発案によって、「エントリー企業ID/PASS管理表(の記入欄)」と「(就活を終えた)先輩からのアドバイス」ページも加わった。