ランク変動が目立つ公立校

“東高西低”では、ベスト50に前回3校あった関西圏と中京圏からは、今回は1校だけになったことが象徴的である。今回28位に入った西宮市立西宮(兵庫)は、首都圏の対象となる難関私大には、おおむね数人ずつしか合格者がいないものの、「関関同立」では、関西大176人(+16人)、関西学院大223人(+140人)、同志社大168人(+43人)、立命館大162人(+45人)と爆上げの状況で、前回の67位から大幅ランクアップしている。

 前回50位以内にランクインしていた学校としては、大阪府立の茨木(34位→51位)、豊中(40位→85位)、愛知県立の明和(42位→180位)があった。茨木は国公立100大学合格力でも40位につけており、2つの合格力で上位にランクする関西には希有な存在といえそうだ。

 ランク外からベスト50入りした学校は、13位都立三鷹中等教育学校(東京・三鷹市)、18位芝(東京・港区)、19位県立厚木(神奈川・厚木市)、30位横浜共立学園(横浜市中区)、32位県立東葛飾(千葉・柏市)、35位県立相模原中等教育学校(相模原市南区)、37位桐朋(東京・国立市)など、26位以降で目立つ。

 公立中高一貫校が、ベスト50のうち8校と目立つことにも注目したい。これまで触れてきた以外にも、付設型の38位県立千葉(千葉市中央区)や40位市立浦和(さいたま市浦和区)、42位都立大泉(東京・練馬区)があり、難関国公立大だけでなく、私立難関大にも熱心に取り組んでいる様子がうかがえる。

 前回は50位内にあったが、今回は外れた学校が13校ある。そのうち東京では、私立中高一貫女子校の豊島岡女子学園(13位→67位)と雙葉(36位→60位)、男子校の城北(31位→61位)、都立では新宿(43位→51位)と立川(47位→58位)、中等教育学校の南多摩(38位→87位)と立川国際(49位→64位)、国立一貫校では、東京学芸大学附属(40位→76位)、お茶の水女子大学附属(48位→59位)、他に千葉の私立一貫共学校の市川(28位→53位)と渋谷教育学園幕張(46位→57位)で、いずれも100位内にはとどまっている。

 22年の私立大入試は、浪人生の減少と少子化で、国公立大と同様、全体的には緩和傾向にある。受験生の親世代が経験したようなハードな受験環境にはもはやない。この点については、12月中に連載「2020年代の教育」の中で取り上げていきたいと思う。