決算報(化学)Photo:PIXTA

コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

化学4社はいずれも
2桁の大幅増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界4社。対象期間は21年7~9月の四半期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・信越化学工業
 増収率:44.4%(四半期の売上高5071億円)
・旭化成
 増収率:11.9%(四半期の売上高5976億円)
・三菱ケミカルホールディングス
 増収率:22.3%(四半期の売上収益9568億円)
・東レ
 増収率:19.8%(四半期の売上収益5493億円)

※信越化学工業、旭化成は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。

 化学業界4社はいずれも前年同期比で2桁の大幅増収となった。特に信越化学工業は4割超の高い増収率を記録している。この要因は何だったのか。コロナ前の前々年同期との比較も併せて、次ページ以降で詳しく解説する。