最強の節税#20Photo:PIXTA

法律にのっとった節税策を使って申告をしても「やり過ぎた節税」に対して国税局に否認され、税理士も困惑するようなケースが相次いでいる。特集『最強の節税』(全22回)の#20では、相続税や法人税で国税に目を付けられてしまう“やり過ぎ”の中身について、裁判となった事例を挙げて解説。富裕層も企業経営者も必見だ。(タクトコンサルティング情報企画部課長 遠藤純一)

なぜこれが「申告漏れ」?
相続税の節税対策で相次ぐ否認

 税務調査は平たく言えば、申告された税金について、税務当局が内容をチェック、申告漏れを捜すことだ。申告すべき収入が漏れていないか、本来経費にならないものが紛れていないかなどを調査し、漏れが見つかれば申告を否認・是正する。

 ところが、この頃、これまでは「申告漏れ」扱いにされなかったようなものが「否認」となる事案が相次いでいる。納税者が申告した財産評価と時価に、「乖離」や「巧妙な租税回避」があると税務当局が認定するケースだ。

 税務の専門家である税理士からも「脱税しているわけではなく、ルールにのっとって節税対策しているだけなのになぜこれがアウトなんだ」と戸惑う声が上がっている。

 中でも、最も話題となっているのは、相続税の事案。節税のために財産の評価額を「著しく圧縮している」と判断される場合だ。

 税理士でさえ戸惑うような事態、税務当局の狙いは一体何なのか?実際のケースで解説していく。