コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本などの「鉄道」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
鉄道5社中3社が
前年同期比減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道業界5社。対象期間は21年7~9月の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・JR東海
増収率:マイナス1.4%(四半期の売上高2063億円)
・JR東日本
増収率:マイナス2.2%(四半期の売上高4444億円)
・JR西日本
増収率:7.8%(四半期の売上高2349億円)
・京王電鉄
増収率:マイナス11.7%(四半期の営業収益699億円)
・東急
増収率:8.7%(四半期の営業収益2439億円)
※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っている。JR西日本は前年同期の売上高と増収率に同変更を遡及適応しているため、次ページに記載する四半期増収率(前年同期比)については22年3月期第1四半期以降のみを掲載している。その他4社は同変更を遡及適応していないため、各社の開示方法に準じて掲載している。
鉄道業界の5社はJR西日本、東急が前年同期比増収、その他3社が減収となった。
利用客数の大幅な減少など、新型コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受けている鉄道業界。各社が前年同期比で減収に陥った背景をひも解くと、その感染状況に左右される厳しい現状が浮かび上がった。次ページ以降でデータを交えて、詳しく解説する。