「隣の芝」が本当に青いか、確認したか?

大学の同窓会で聞いた他社の話が羨ましくて、つい自分の働く環境と比べて、少し悲しくなったりします。好きで入った会社とはいえ、いつでもずっとその気持ちでいられるわけじゃないと思うんですが、「現環境の素敵なところ」を見つめ直す技を教えてほしいです。(20卒 1社目 大企業)
【入山章栄×ONE JAPAN公開相談会】大企業社員はいま何に悩んでいるのか?寺﨑夕夏(てらさき・ゆか)
東京海上ホールディングス株式会社 経営企画部・事業戦略室 アシスタントマネージャー
千葉県出身、秋田の国際教養大学に入学後、米国オレゴン州に1年間留学し、社会学や教育学を専攻。2015年に東京海上日動火災保険(株)に入社し法人・スタートアップ営業を経て、現在は東京海上HDにてグループデジタル戦略の立案や新規事業・サービス開発に従事。また東京海上Gの若手有志団体「Tib」の発起人として、会社と連携しながら新サービスの立ち上げやイベント企画に奔走中。

寺﨑:「隣の芝は青く見える」ということだと思いますが、恋愛と一緒で、自分の彼氏を自慢している人の彼氏って、だいたい大したことないだろうって私は思っているんですね(笑)。いきなり身もふたもない言い方ですけど。どちらかというと、自分が心から信頼できる人だったり、職場で一生懸命やっている人に話を聞いたりしたほうがいいのではないかと思います

 それから「現環境の素敵なところを見つめ直す」っていうのはマインドセットとしてはいいなと思いますが、実際は素敵じゃないかもしれないですよね。素敵じゃないところも含めて、自分の彼氏のいろいろなところを探っていこうという目線でいくと、無理にいいところを見つけなくてもフラットに接することができるのではないかなと思いました。

伊藤:私は今でも隣の芝が青く見えることは多々あって、これもまた仕方がないことだなって思っています。ただ、隣の芝が本当に青いのかどうかっていうのを確認しにいくことは必要ですよね。私もONE JAPANを通して「やっぱり皆さんの会社も変わらないですよね」っていうところを理解することもありますし、まずは隣の芝を知りにいくのはひとつの手です。

 あと、モチベーションが下がったなかで同じ芝にいる仲間たちとお酒を飲むと、愚痴になりやすいので、お酒を飲まずに集まって真面目に話をするのもおすすめです。「うちの会社のいいところはどこだろう」など、わりと前向きで建設的な話になって、モチベーションも上がりやすいと思います。

松葉:私も隣の芝が青く見えるのは仕方ないと思うんですけど、相手も自分に対して同じように思っている場面がどこかにあると思うんです。だから伊藤さんも言ったように、真面目に話してみたら、きっと自分の会社の素敵な部分が見えてくるんじゃないかなと思いました。

吉田僕は、クライアントや社外の方々をゲストスピーカーに招いて社内勉強会を開くことで、自社を相対化するという技をよく使います。そうすると、うちの常識って遅れているなと凹むこともあるんですけど、案外捨てたもんじゃないんだなとか、大したことないと思っていたことを他社から褒められるとか、そういうことがよくあるんです。

入山:あえて言うと、そもそも環境って言っている時点でだめなんじゃないかな。やりたいことがあって、それを実現するために大企業を使い倒すわけだから、「自分にとってよい環境」と言っている時点で、すでにメンバーシップ型雇用の典型的な発想なんですよ。

 もちろん、この相談者はまだ入社1年目なので、人生でやりたいことって決まっていない方が多いと思いますけど、環境は少なくとも目的ではなくて手段です。まずはやりたいことを見つけること。やりたいことがあれば環境は関係なくなりますから