茨城県に住む友人も漆器、陶器などに関する日中交流の歴史といまを見つめるシンポジウムの開催を仕掛けている。

 先日、日中友好会館の中国側代表理事、黄星原氏を取材した。日中国交正常化50周年の話題に触れたとき、黄氏は日中間に漂う相互不信の問題などを指摘したのち、次のように楽観的な見通しを披露した。

「世代にわたる友好と日中不再戦を求めるのは、日中両国民の共通の願いだ。その実現に自信を持たせる3つの『千』がある。第1の『千』は、日中間の人的往来はいまや年間1000万人レベルに達していること。次は、漢字を軸にする日中間の文化交流の歴史は2000年近くもある。2018年の日中貿易総額が3537億ドル強という実績は第3の『千』だ。これは日中友好を推進できる深い土壌だと信じる」

これから先の50年、日中関係はどうなるか

 2014年、拙著『この日本、愛すればこそ』が出版されたとき、私は次のように予言していた。

「互いに魅力を覚えられる、平和的な共存ができる隣国同士。甘ったるい日中友好といった言葉がなくてもまったく問題のない健全な両国関係。それは私が描いた20年先の日中関係だ」

 さらに「20年後は、きっと私の予言がもう一度当たったと祝杯を挙げられると思う」といったことも書いている。

 日中関係の発展に祝杯を挙げるためには、まだまだいろいろな試練を受けなければならない。しかし、日中国交正常化50周年をテーマに一連の取材を進めているうちに、私は自分の予言に自信を得た。

 これまでの日中間の50年は、国交正常化と友好の道を切り開いた半世紀だとすれば、これからの50年は、日中間の平和と繁栄の恒久化へとつなぐ新しい半世紀になってもらいたい。その二つの50年をジョイントするのは、ほかならぬ私たちの世代だ。時代が与えてくれたこの重大な使命を私たちは背負い、その実現に全力投球で当たっていきたい。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)