社内起業すべきタイミングの見極め方とは

新規事業を社内から量産するには?リクルート、ソフトバンク、NTTドコモの3大成功企業に学ぶ「仕組みのつくり方」麻生要一(あそう・よういち)
株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO
東京大学経済学部卒業。株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に入社後、IT事業子会社「株式会社ニジボックス」、社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」、スタートアップ企業支援プログラム「TECH LAB PAAK」を立ち上げ、約1500の社内プロジェクト及び約300社のインキュベーション支援を経験した後、起業家へ。2018年に株式会社アルファドライブを創業、2019年にユーザベースグループ入り。2018年に株式会社ゲノムクリニックを共同創業 (経営・ファイナンスを管掌、現在兼務)。2018年よりUB VENTURESのベンチャー・パートナー (現在兼務)、株式会社ニューズピックスの非常勤執行役員に就任(NewsPicks for Businessの事業開発を管掌、現在兼務)。著書に『新規事業の実践論』。

麻生:現場で働いている大企業の中の社員のみなさんが、今この時代において社内起業をどう捉えていったらいいでしょうか?

笹原:私は26年働いてきて、この6月に初めて社長になったんですね。そこで感じたのが、若いうちから社長になって、心構えを作っておくのは大切だということ。なのでチャンスがあるのであれば若いうちに起業して体験をしておくと、組織や会社の見え方が変わるかな。

 社長になってからはスタートアップのみなさんともお会いすることがさらに多くなりました。そういったときに本当にオープンイノベーションみたいな形で、対等にお話をしやすくなるんじゃないかと思います。そういう意味でも、とてもおすすめします。

佐橋:大きなテーマとして、たとえばコロナでもカーボンニュートラルでもそうですけど、日本経済の危機感を含めて、新規事業に関わる人にとってものすごくわかりやすくオポチュニティが見えてきてるタイミングだと個人的には思います。

 社内起業がはやっているという意味でも、今まさに挑戦するべきだと思います。それから、一社会人としての経験という意味でも、ゼロイチで事業を作っていくのって、やっぱり圧倒的に足腰が強くなる経験です。過去の挑戦者も、自分の社会人人生のなかでイノベンチャーでの経験が最も成長できた期間だった、という人も少なくない。絶対にやるべきだと思います。

渋谷:そうですね。先ほどのワインの話のように、新規事業ってなかなか成功しないんですよ。いろんなタイミングがガチッとはまれば、ボーン!と飛んでいくっていう感じもあって。たとえばスタディサプリを起案した社員は、それまでにいろんなビジネスプランを6回起案しているんですね。それでフィードバックをもらいながら進化を続けて、最後にスタディサプリでドン!と突き抜けました。

 最近、野球の新庄選手が監督になるという中で「努力は一生、本番は1回、チャンスは一瞬」とおっしゃっていて、これはまさにそうだなと思います。いつ自分が成功するかわからないけれど、人生は1回しかない。その本番の中でチャンスをガチッとつかんでいくためには、何度も打席に立つことがすごく大事だと思います。ですので、コロナにかかわらずどんどんやっていくべきじゃないか、と僕は思っています。