龍角散の藤井隆太社長に「セクハラ」疑惑が持ち上がった裁判は12月1日、和解が成立した。提訴したのは龍角散で法務担当部長を務めていた女性(50歳代)で、会社から不当に解雇されたとして地位確認請求を東京地裁に対し2019年6月に提訴。2年半に及ぶ論争を経て、龍角散が元部長に定年退職までの給与6000万円を支払うことになった。これにより、元部長は合意退職する。
裁判で争点となったのは会社が元部長を解雇した正当性だったが、注目を集めたのはもっぱら藤井社長のセクシュアルハラスメント疑惑だ。元部長は藤井社長によるセクハラ疑惑を聞き、社内調査しようとしたところ解雇されたと主張。これに対し、龍角散はセクハラ疑惑が元部長による「捏造」と否定していた。
そもそも、元部長は藤井社長のセクハラ疑惑を追及するというより、社内に「相談窓口」がないことに問題意識を持っていたようだ。セクハラなどに対応する相談窓口は20年6月施行の「改正労働施策総合推進法」によって中小企業で努力義務となり、22年4月から義務化される。今回の裁判は和解となったが、元部長が要望していた相談窓口は龍角散に設置されたのだろうか。