雨が上がり、待ちに待った鶴居村の人たちとのバーベキュー。鶴居村産の鹿肉は分厚く新鮮で脂身までおいしくて、筆者は「この鹿肉をお店で売ったらいいのでは」と何気なくつぶやいた。しかし、鹿は血抜きが難しく、ここまでおいしい鹿肉を低価格で安定供給させるのは至難の業だという。地元の方が、「血抜きに失敗した鹿肉は食べられたものじゃないよ」と教えてくれた。子どもの頃に食べて、トラウマになるくらいの臭みだったという。

 IT領域で働く筆者は、IT視点で物事を捉えてしまうことが多い。しかし、大切なことはITだけではなく血抜きにもあるという当たり前の事実に気づき、ハッとした。

鹿肉とジンギスカンで歓迎していただいた Photo by Mayumi Sakai鹿肉とジンギスカンで歓迎していただいた Photo by Mayumi Sakai

ワーケーションとは、
旅先で東京と全く同じように働くことではない

 同時に、自分なりのワーケーションの意義にも気づいた。多くの取材や会議がオンラインに切り替わり、部屋からほとんど出ることなく2年になろうとしている。ベッドからデスクまで3歩。すぐ仕事に取り掛かれるのは効率が良く、幸せなことだと思っていた。ただ、昨日より今日、自分は成長できているという実感がなかった。