書くと不安がなくなる。自分自身が整理される。そう経験的に感じている人も多いだろう。だが、それはなぜか、どういう書き方が効果的なのかを知っている人は少ない。不安な時代こそ、知識やスキルを焦って付け足すのではなく、自分を深く知ることが大切だ。答えを自分の外にではなく、内に見出すこと。そのために有効なのが「書く」ことだ。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、行き着いた最も効果的な習慣は「書く」ことだった。必要なのはノートとペンのみ。自分と向き合い、本当に大切なことに気づけば、生き方は今よりずっとシンプルになる。自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

ストレスフルな毎日、自分を支配するもののあぶり出し方Photo: Adobe Stock

悩みは大体同じことの繰り返し

 頭や心がごちゃごちゃなときは、まず考えずに、感情の赴くまま書き出してみることです。

 思考するのではなく、自分を感じながら、瞑想的に書いてみてください。

「放電(気分を下げたこと)」「充電(気分を上げたこと)」の2つを書くことがお勧めです。

 書き出したものを1カ月分まとめて見てみると、滑稽なぐらいに同じことの繰り返しだと気づくと思います。

 記録をとるだけでも自覚できますが、それを集計してパターンを見える化することで、否が応でも自分の傾向に気づくことができます。

 心は、仕事、家庭、人間関係など様々な要因で乱れていきますが、俯瞰してみると同じパターンの繰り返しであることが多いのです。

 そこで、自分の「放電」「充電」を作り出すパターンを「3つ」ぐらいに集約してみましょう。

インパクト図から感情パターンを探る

「インパクト図」とは、1カ月間の「放電」「充電」の中で、自分にインパクトが強かったものをピックアップし視覚的に描くものです。

 放電を生み出している要因、充電を生み出している要因を3つずつ書き出すだけで、自分の感情が何に左右されているか、8割ぐらいの共通項が見えてきます。

ストレスフルな毎日、自分を支配するもののあぶり出し方インパクト図の見本

 たとえば、上の図は私が書いたインパクト図ですが、放電と充電のインパクトが強かったことをそれぞれ3つずつ書いています。

「放電を減らして、充電を増やしていくこと」が心を整えるポイントです。

 これによって自分の心に影響するインパクトのあることを絞り込めますので、対策がシンプルになります。

 もちろん解決することは簡単ではありませんが、つかみどころがないモヤモヤした悩みに比べて、論点が明確な課題への対策は多少なりとも快方に向かう安堵感を得られます。

 このように論点が絞れれば、豊かさを高めるために、放電の3つをどのように解消するか、充電の3つの時間をどのように増やすかを考えていけばいいのです。

【書き方のポイント】
・1カ月分の放電、充電日記を見返しながら、頻度の多い行動と感情をマーカーでチェックする
・書いた数の多さと、心に与えた実際のインパクト感覚をもとに、放電、充電の上位3つずつ書く
・より重要でインパクトが強いものを真ん中に置いたり、円を大きく描いたりする
・自由に書く(※上の図はフォーマットではなく、あくまで参考です)
・1回限りではなく毎日書き出しながら、心の傾向をつかむ
・時間は「10分」を目安に

(本原稿は『書く瞑想──1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)