あれもやりたい、これもやりたいと、スケジュール表に記入するときは気分も高揚する。だが、その思いとは裏腹に、実際にすべてを行うことは容易ではない。なぜ、思うように時間を調整できないのか。次々と新しいことを始められる人は一体何が違うのか。新しい習慣を身につける際に知っておきたい、スケジュール管理のポイントを伝授。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、心を整えるための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

スケジュール管理が「上手な人」と<br />「下手な人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

必要なことを増やし、不要なことを減らす

「モノの片づけ」と「心の片づけ」には共通することがあります。

 まず全部を「出し」、必要・不要を「分けて」、不要なものは「捨て」、大切なものを「残す」ということです。

 さらに、生活を改善していくには、不要なものを「減らし」、必要だと思うものを「増やす」ことが大切です。

 これを継続していくことが、あなたの生活・時間・心・人生をより良いものに変えていきます。

 スケジュール管理の前に、モノの片づけの例から考えてみましょう。

 整理収納アドバイザーという15万人以上の片づけ専門家を生み出している日本最大級のハウスキーピング協会代表理事の澤一良氏と対談をさせてもらったときに、彼が語っていたことです。

「ホテルの部屋がすごくスッキリしているのは、モノの点数が少ないからです。逆に部屋が荒れるのは整理整頓ができていないからというより、モノが多すぎることに原因があります。では、その増える一途を辿る悪循環のポイントはどこにあるか。それは考えず買い足すことにあります。減らすことは考えずに増やしていくと、当然乱雑になっていきます」

 なるほど、それはその通りです。

「新しいものが欲しい」と欲は無限ですが、スペースは有限なため、部屋にモノがあふれていくというのです。

 このパターンは、生活や仕事においても同じことが当てはまります。

 読書の時間が欲しい、走りたい、ストレッチもしよう、瞑想もした方がいいらしい、英語の勉強もしたい、夫婦で会話の時間も増やそう、自炊した方が健康にいい、という具合に「あれもこれもやりたい」とつい増やしてしまいますが、スケジュールは24時間しかありません。増やした分、足した分のしわ寄せはどこかに必ずやってきます。

 仕事も家庭も育児も自分の時間も……やることが多すぎて、欲張って予定に全部を入れようとすると24時間では足りません。

「何かを始めよう!」と決意することは簡単ですが、「何かをやめよう!」と決断することは難しいものです。

 だからこそ、スケジュールも目標もシンプルにしていくためには、まずは捨てること、諦めること、手放すこと。「やらないことルール」を明確にすることです。

大切なことを明確にする

 大切なこと、やりたいこと、目標が見えていると、自分らしい人生の中核が見えてきます。

 大切なことが明確になって初めて、時間を圧縮する努力をするものです。

 しかし、大切なことがぼんやりとしていると、何も変わらない日々が続きます。

 そのためには、価値観を明確にし、「まずはどうなれば理想的なのか?」という理想を描いていきます。

「どうしたいのか?」が根幹にない限り、日々の生活において充足した時間を決めることはできません。

 そして、この価値観、理想は自分と対話を繰り返し、自分の中から見つけるしかありません。

 これがはっきりすると、大切な時間が何かを定義できます。

 そうして初めて、「何が不要か?」を考えることができます。なぜなら、必要・不要は相対的なものであり、優先順位の結果だからです。

(本原稿は『書く瞑想──1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)