永田町で権力闘争を巡る令和版「三国志」が幕開けた。岸田文雄首相が麻生太郎元首相との連携を強める中、ポスト岸田の野心を隠さない高市早苗・自民党政調会長は安倍晋三元首相の後ろ盾を得て党内の勢力拡大を図る。そこに割って入るのが、河野太郎・自民党広報部長と菅義偉前首相のコンビだ。この新興勢力の脅威は、隠密に事を運ぶ「ステルス戦略」にある。永田町の常識を覆す新しい戦い方とは?(イトモス研究所所長 小倉健一)
権力闘争の戦場である永田町で
令和版「三国志」が幕開け
権力闘争が日常茶飯事の永田町で、令和版「三国志」が幕を開けている。表舞台の登場人物は自民党総裁選で争った3人だが、真の主人公はそれぞれの裏で政略を練る首相経験者たちだ。
群雄割拠して天下をうかがう戦国の世、天才軍師・諸葛亮孔明は誰の下に舞い降りるのか。
低調な船出となった10月から内閣支持率が上向き、意気軒高の岸田文雄首相。首相として初めて臨んだ臨時国会も閉会し、12月21日の記者会見では「今年より来年が良くなる。未来に対する希望を持てる日本をつくるため、来年も挑戦し続ける」と強い意欲を語った。
この日は自民党本部で開催された党憲法改正実現本部(本部長・古屋圭司元国家公安委員長)にも出席し、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長らを前に「総力を結集し、改憲を実現するとの思いだ」と呼びかけるなど、エネルギーに満ち溢れているように映る。
自民党担当の全国紙政治部記者が語る。
「党の会合に首相が出席するのは異例です。党是である改憲の機運を高めていくことはもちろんですが、党務を任せる麻生氏、茂木氏と手を組んでいることを印象づけ、今後は3人の頭文字をとった『KAM』体制で自民党を回していくという意思の表れでしょう。それだけ警戒心を持っているということですよ」