冨永愛が日々実践する食事術を綴った書籍『冨永愛 美をつくる食事』が12月1日に発売された。
その発売を記念して、2021年11月27日東京・二子玉川蔦屋家電にて、刊行記念のトークショーが行われた。その内容を公開する。なぜ、『冨永愛 美をつくる食事』には、ダイエットという言葉がないのか?(構成/依田則子 写真/小原孝博)
―― 本書では、冨永さんの経験に基づいた美肌や太りにくい体をつくる食べ方のルールを学ぶことができますが、「美をつくる食事」というテーマで本を書いたきっかけは?
前著の『冨永愛 美の法則』では美容術を書きましたが、じつはその後、出版社さんから「次は、生き方について書きませんか?」と、ご提案をいただきました。
考えた結果、私にとって「生き方」とは、「食べること」だと思えたのです。
自分の体や心は、食べる物から作られている。細胞の一つ一つも。
私は十代の頃からモデルをやってきて、職業柄いろいろな食べ物や食べ方を試し、トライ&エラーを繰り返してきました。
だからこそ、その集大成を、今ならお話できるのではないかと思ったのです。
「食べない」選択より「何を食べるか?」という選択
――この本には、発酵食品や代替食品を取り入れるなど、美に欠かせないマイルールがいくつか書かれていますが、その中で特に意識していることは?
「食べない」という選択よりも、「何を食べるか?」という選択を大事にしています。
これも食べない、あれも食べない、という生活はストレスになり、苦しくなってしまいます。
例えば、お腹が空いておやつを食べたくなったら、「食べずにがまんしよう」ではなくて、「だったら、これを食べよう!」という考え方です。
――この本の中には、「ダイエット」という言葉は出てきませんね。
はい。排除しました(笑)。
そもそも「ダイエット」という言葉自体、きつい言葉だと思いませんか? もう見たくないでしょ? みなさん、ものすごく、うなずいてくださいましたね(笑)。
私の場合、ダイエットとは言わず、「体を絞る」という言い方をしています。
「目指したい体」によって、食べるものは自然と変わっていきます。
ダイエットという言葉は、ケーキ、ハンバーガー、ポテトフライ、ラーメンなどは食べてはいけないという感じになってしまいますが、「食べ物を選択」(補足:食事の質を変える)していくと、自分の目指す体になっていきます。
「食べる」ことは心のサプリ
――本を読んで、冨永さんはお母様やお祖母様の食の教えを受け継いでいらっしゃると感じました。その教えの中で、特に印象に残るものは?
母は昔から梅干しを漬けていました。
私が十代の頃、一人で海外に出ていった時、母の梅干しを瓶に詰めて持っていったのですが、辛い時に、その梅干しを食べると、ものすごく気分が落ち着いたのです。
「よし! 明日もがんばろう!」と思えるサプリメントのようでした。
この時、私にとって「食べる」ということは、心のサプリなのだと思えたのです。
祖母は、まさに食のオタクのような人でした(笑)。
私が子どもの頃、祖母はあるテレビ番組の健康情報コーナーが好きで、「ココアを飲んだほうがいい」「海苔は一日一枚食べたほうがいい」といった情報が流れると、その都度メモをとって、私に教えてくれました。
他にも、「まごわやさしい」(「ま」=豆類、「ご」=ごま、「は(わ)」=わかめ(海藻類)、「や」=野菜、「さ」=魚、「し」=しいたけ(きのこ類)、「い」=イモ類)という、日本人が古くから食べていた健康的でバランスのいい食の知恵を教えてくれました。
――本に紹介されているお母様直伝のレシピの中で、とくに「筑前煮」や「紫花豆の煮物」は、ほっこりして美味しかったです。これが冨永さんの生まれ育った家庭の味なのだと感動しました。この本では、34個のレシピを紹介していますね。
じつは出版社さんからは、レシピは8個出してくださいと言われていたのです。
8個と考えて、ではどのレシピにしようかな? とリストアップしていたら、30個以上になってしまって、どのレシピもはずせなくなってしまったのです(笑)。
レシピづくりは、「これは大さじ何杯」という感じで試作しながらメモ帳に書き留め、34個紹介しています。