米中対立などの地政学リスクを背景に、海外進出する日本企業の事業環境が激変している。“会計ビッグ4” の一角PwC Japanグループが大手企業約300社に実施した調査を基に、海外事業“リストラ候補エリア”ランキングを作成した。トップは中国で、約2割の企業が中期的に中国事業の撤退や縮小を検討していることが分かった。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
PwCが大手300社に調査
「海外強化」の企業が5割
米中対立の激化など、海外進出した日本企業の事業環境が激変している。世界4大会計事務所の一角を占めるPwC Japanグループの最新の調査結果によれば、中長期的に海外事業を「強化・拡大する」と回答した日本の大手企業は5割強を占めた。
とはいえ地政学リスクを背景に、海外事業の力の入れ具合には国・地域によって“温度差”があるようだ。調査結果からは、企業が海外事業の「縮小・移転・撤退」を検討している“リストラ候補エリア”も明らかになった。
今回のPwC Japanの調査は、売上規模100億円以上で、海外事業を展開する日本企業約300社を対象に実施。製造業からサービス業まで幅広い業種が対象で、うち約半数でCEOや本部長級などの経営幹部が回答した。
地政学リスクが顕在化するなかでも、海外市場への期待はまだまだ健在だ。約7割の企業が、中長期的な成長市場は「海外」と調査で回答した。国内市場の飽和が見込まれるなかで、海外市場をより重視する企業が目立つ。
事業の展開先として企業が有望だと考える国や地域では、米国が31%でトップとなった。中国が19%、インドが11%と続いた。
一方、地政学リスクやカントリーリスクが企業のマインドに影を落としている。海外事業の撤退や縮小を検討する国・地域をランキング化したところ、トップとなったのは中国で、約2割の企業が回答した。
それでは2位以下はどこの国・地域なのか。海外事業“リストラ候補エリア”ランキングを見ていこう。