Photo by Ryo Horiuchi
政府が脱炭素への「切り札」として期待を寄せる洋上風力発電プロジェクト「第1ラウンド」の公募結果は、エネルギー業界の予想を大きく覆す衝撃のものとなった。三菱商事グループが、秋田県と千葉県の計3エリア全てを総取りする大勝利を収めたのだ。三菱商事の“独り勝ち”は、洋上風力発電が日本で成長するかどうかを大きく左右することになりそうだ。（ダイヤモンド編集部 堀内 亮）
コンペ負け組の遠ぼえ
「商事はやりすぎだろ！」
2021年12月24日午後4時ごろ、秋田県能代市、三種町、男鹿市沖と同県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖の3エリアで行われた洋上風力発電プロジェクトの政府公募に参加した事業者には、政府から公募結果が伝えられていた。
政府から「敗北」を伝えられたある事業者の幹部は、どの事業者が公募を勝ち取ったのか情報収集に走った。すると、三菱商事グループが「全勝」したことが判明し、思わず叫んだ。
「あり得ない！いくらなんでも商事はやりすぎだろ！」
とはいえ、勝てば官軍。三菱商事にとって、“負け組”の遠ぼえだった。
では、三菱商事はどのようにして全勝を果たしたのだろうか。
次ページ以降では、業界関係者への徹底取材に基づき、洋上風力発電プロジェクト「第1ラウンド」の実名入り公募結果をつまびらかにする。三菱商事が洋上風力発電プロジェクトに懸けた裏事情、そして三菱商事の圧勝によって、日本の洋上風力発電が「終わりの始まり」を迎えるかもしれない理由もお届けする。
