脱炭素#6
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世界的な脱炭素の動きをにらんで、三井物産や三菱商事は海外石炭火力発電事業の撤退・新規投資取りやめの方針を決めるなど、エネルギー部門の資産の入れ替えに着手している。それでは、石炭火力発電に比べればエコだが、それでも温暖化ガスを排出する「LNG火力発電」に未来はあるのか。水素や風力など再生可能エネルギー関連ビジネスへの本気度はどの程度のものなのか。特集『脱炭素の衝撃 3000兆円の衝撃』の#6では、商社の屋台骨を支えるエネルギー部門の幹部に将来戦略について聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子) 

財閥系二大商社の試練
「虎の子」LNG火力発電の命運

 日本の資源ビジネスをけん引してきた二大商社に試練とチャンスが訪れている。

 菅政権が「2050年にカーボンニュートラル(炭素中立。二酸化炭素の排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすること)の実現」の目標を掲げたことで、「エネルギービジネスにおける歴史の転換点」(中西勝也・三菱商事常務執行役員)となっているのだ。

 二大商社は、日本のグローバル企業の代表選手である。社債の発行や格付け取得には、必ずSDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・企業統治)の要素が求められる。以下は、三井物産の事業に降りかかっているリスクと機会の一覧だ。

 ある商社担当アナリストは「“SDGs村”の常識では、石炭火力発電や一般炭はもちろんNG。それどころか、LNG(液化天然ガス)火力発電プロジェクトでさえも“座礁資産”という扱いになってしまう」と言う。

 これまで二大商社の稼ぎ頭であり続けたLNG事業(今期は資源安で低迷)に試練が訪れているのだ。

 菅政権がカーボンニュートラルを掲げるよりも前に、脱炭素の動きを敏感に察知した両社は、海外石炭火力事業の撤退・新規投資の取りやめを決めたり、再生可能エネルギーシフトへかじを切ったりとエネルギー事業のポートフォリオ転換を急いでいる。

 将来的にLNG火力発電の撤退にまで踏み込むことはあり得るのか。三井物産と三菱商事のエネルギー部門担当役員にインタビューを敢行した。