文在寅政権は朝鮮半島問題について、韓国が「運転席」に座り、主導的役割を果たしていくとしているが、今回の北朝鮮のミサイル発射によって、韓国は「後部座席」に座らされていることが明らかとなった。

 北朝鮮のこうした挑発行動に対し、何ら能動的対応を取らない文政権は朝鮮半島問題での役割は期待されていないのだろう。

 北朝鮮は敵対勢力の策動と新型コロナの感染拡大を口実に、北京オリンピック大会に参加できないことを関係者に通知する手紙を送ったと表明した。これにより北京での北朝鮮との政府ベースの会談の望みは完全に断たれた。文政権が期待する朝鮮戦争の終戦宣言に対しても、北朝鮮からは何ら前向きの反応はない。

 米国のハリス前駐韓大使も、「既に(実質的な)終戦宣言はある。それを『休戦協定』と述べ、あえて終戦宣言をしなければならない理由はない」と否定的なコメントを行った。また、これとほぼ同じ時期に前在韓米軍司令官兼韓米連合司令官も「終戦宣言をして何を得ようというのかが明らかではない」と批判した。

 北朝鮮、米国の双方から相手にされない「終戦宣言」は幻に終わりそうである。

 北朝鮮のミサイル挑発について欧州各国も非難し、10日には安保理非公式会合が開かれた。文政権は朝鮮半島問題でも国際社会の趨勢から孤立しており、同調するのは主要国では中国とロシアくらいである。

 これでは朝鮮半島問題で「運転席」に座ることは無理である。韓国は米中対立の中でも北朝鮮問題については一定の役割を果たしたいとしているが、独り相撲を取っているにすぎない。

日米外相会談に
韓国は参加せず

 先述の通り、北朝鮮によるミサイル発射の2時間後、日米外相による電話会談が行われた。過去、北朝鮮が同様の挑発行為をした時には、韓国と米国の外交当局が最も迅速に状況の共有と対策の準備に取り掛かったが、今回は米国と日本だけで、そこには韓国の姿はなかった。

 米国務省は「ブリンケン長官が北朝鮮の弾道ミサイル発射を糾弾し、日本に対する米国の防衛公約は鉄壁だと強調した」と発表し、「両外相は韓半島の完全な非核化と恒久的な平和を成就するための協力について話し合った」と説明した。