そうすることで、「あの人の仕事を引き継げば、ノウハウが学べる」と周囲から評価されるようになる。そして、仕事を引き継ぐ人も積極的に引き受けてくれるようになるのである。

◆組織を動かして大きな成果を残す
◇根回しで一番ダメなのは「相手の面子を潰すこと」

 30代になると、個人の作業レベルを超えた成果を出すために、社内外の組織を動かすことが求められる。そのため、根回しのスキルが欠かせない。根回しの本質は、反対意見を事前に把握し提案の質と確度を上げることで味方を増やすことである。根回しのコツは何なのか。

 根回しは最終決定者から順番に行うと思っている人も多いかと思う。しかし、根回しのポイントは、物事を自分の頭で考え、判断できる理性的な人から行うという点だ。なぜなら、こうした人たちは建設的で中立的な意見をくれるありがたい存在だからである。

 もちろん、自身の上司の上司や取引先の社長など、キーパーソンに直接アプローチした方が効果的な場合もある。ただし、こうしたアプローチには注意が必要である。上司や担当者をすっ飛ばして上にアプローチを行い、それによって事案が降りたらどうか。上司や担当者の面子が丸つぶれで、その案件に協力したいという気持ちが削がれてしまうだろう。

 こういった無益な戦いは避けるのがベストである。上司や担当者と一緒になって「意思決定者を味方にするにはどうしたらいいか」を考えることが大切だ。

◇現場への根回しを疎かにしない

 上層部だけでなく現場への根回しも必要だ。現場への根回しをしていないと、案件が通ったとしても、現場から「そんなことは聞いていない」と反発されてしまう可能性がある。現場がノーと言えば物事は進まない。

 現場からの信頼を得るには時間がかかる。正式に上層部に話す前に、「こういうことをやろうと思う」「あなたの力が必要だ」などと、軽く声をかけておくとよい。

 ただし、根回しの時だけ声をかけていると、相手からは必要な時にしか声をかけないと思われてしまう。普段から情報交換や雑談などで信頼関係を構築しておくようにしたい。