みずほはこの日、再発防止に向けてシステムの総点検や人材の増員などを盛り込んだ業務改善計画を金融庁に提出した。本来、策定の最高責任者である坂井社長がメインの説明者となるべきはずだった。

 一般に、企業不祥事においては、経営陣の引責辞任や再発防止策の監督官庁への提出・発表のタイミングで、新旧経営陣のバトンタッチが行われることが多い。企業側としては、トップ交代劇によってメディア、ひいては世論の納得を勝ち取ろうとする。

 旧経営陣が問題解決へ道筋をつけ、メディアからの批判や不信を一手に引き受けて舞台上から消える。新経営陣は初会見で過去との決別を宣言し、抱負を語る。メディアもいったんは矛を収め、お手並み拝見と模様眺めのスタンスへと変わる。

 みずほも過去の不祥事において、下表の通り、トップ交代劇を繰り返してきた。

 ところが、今回は、坂井社長降板による番狂わせにより、狙い通りの演出効果を発揮できなかった。

 代わりにメディアの関心が集まったのは、後任トップ木原氏の所信表明ではなく、同席した社外取締役の甲斐中辰夫、小林いずみ両氏の発言だった。