新聞各社の社説が一致した
ガバナンス体制への不信

 新聞で最も読まれない記事、と揶揄されることもある「社説」。筆者も記者時代はそんな陰口をたたいたこともあったが、社論が込められていて軽んずるべきではない。今回は、メディアの真意を読み取る手掛かりとしたい。

 各社には論説委員と呼ばれる専門記者がいる。局長、部長経験者というベテラン中のベテランが中心で、草稿をベースに議論を交わし練り上げ、最終稿として掲載される。つまりは、ある問題に対する社としての主張・見解の総括となる。

 みずほの発表を受けた各社の社説で、一点、共通して厳しく指摘されていることがある。社外取締役の責任だ。

毎日新聞(20日付) 「歴代経営陣を選んだ社外取締役の責任も、あいまいなままだ。(中略)人選は、社外取締役が主導している。失策を重ねた旧経営陣を選んだ責任を明確にしないままでは、新経営陣の正当性が疑われる」
日経新聞(20日付) 「一連の障害を通じて、みずほの企業統治(コーポレートガバナンス)が十分に機能していないこともはっきりした。社外取締役を登用した取締役会は業務執行を適切に監督する役割を果たせなかったと言わざるを得ない」

 読売新聞、朝日新聞 は昨年11月に金融庁が業務改善命令を出した段階で、社説を掲載している。

読売新聞(11月28日付) 「金融庁は、取締役会の機能不全も問題視した。みずほFGは13人の取締役のうち6人が社外取締役で、大手企業の元社長らが並ぶ。危機対応の強化や企業統治の改革を迫る必要があった」
朝日新聞(11月28日付) 「金融庁は今回の処分で、(中略)執行側だけでなく監督側の機能不全も指摘した。問われているのは企業統治総体の変革だ」

 各社の社説がそろって手厳しい通り、17日の会見でも社外取締役の責任についての質問が相次いだ。

 なお、みずほFGの社外取締役と重要な兼職については下記の通りだ(1月17日現在。みずほFGの公式サイトから引用)。