NHK Eテレ『先人たちの底力 知恵泉』(11/9.16放送)でカリスマ経営コンサルタントとして紹介された神田昌典氏が、アメリカで百年以上続くコピーライティング技術を日本で普及させ、はや四半世紀。第一人者、25年の集大成が『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』という468Pの大著だ。
★4つの力(判断力・思考力・表現力・発信力)が身につく【コピーライティング技術100】
★【BTRNUTSS見出しチェッカー】【PASBECONAテンプレート】【PMMサーチシート】初公開
★「どう言うか」だけでなく「何を言うか」まで完全網羅。紙・ウェブ・スマホ完全対応
★比類なき最強の教科書。第一人者、25年の集大成
神田氏は言う。「タイトルを『大全』としたのは誇張ではない。従来のコピーライティングにとどまらない広範な分野──事業戦略、マーケティング戦略から効果計測・分析、テキストデザイン、表現技術や発想法まで──総計100に及ぶコピーライティング技術を横断的につなぎ合わせ、実用しやすい体系にまとめあげるには、果てしない作業が必要となった。そのモチベーションを持続できた理由を、こっそりと明かせば、著者たちの個人的な事情がある。実は、共著者2人は、人生の先行きが見えず、大きな壁にぶちあたっていたときに、コピーライティングに救われたからだ」
第一人者の神田昌典氏と、共著者で脳性麻痺の子どものために大企業の管理職を辞し、マーケティング・コピーライターとなった衣田順一氏。今回も読者の役立つポイントを本文から抜粋して紹介する。
行動経済学とは?
行動経済学は、2002年、ダニエル・カーネマン(プリンストン大学名誉教授)のノーベル経済学賞受賞によって注目が高まった。
行動経済学とはいったいどんなものか?
ごく簡単にいえば、経済学に心理学の要素を加味し、従来の経済学が前提としていた「合理性」では説明がつかない摩訶不思議な人間の意思決定や行動選択について研究する学問である。
コピーライティングに心理学の研究結果を取り入れることはこれまでにも行われてきた。しかし、コピーライティングは経済活動の一環なので、心理学と経済学が融合した行動経済学との関連が強く、とても興味深い。
行動経済学の対象分野は多岐にわたるが、文章表現に関連した研究も数多くある。百年以上にわたるコピーライティングの原理原則が、行動経済学の理論で学問的に裏づけられるものになったのだ。
たとえば、ヘッドラインを考えるときに役立つのが、行動経済学の「プライミング効果」。「プライミング」の「プライム」とは先行刺激という意味。
アイデアや概念をそれとなくほのめかすと連想が誘発され、行動が促進される。これが強力な効果を生む。
全米の代表的サンプル4万人以上の調査で、
「今後6ヵ月以内に新車を買うつもりですか?」
と質問すると、新車購入率が35%上昇したという。また、
「次の週に何回デンタルフロス(歯間ブラシ)を使って歯の間を掃除しますか?」
と問うと、デンタルフロスを使う回数は増えたという。
さらに、選挙で支持者を投票に行かせるために、選挙前日に、
「投票に行きますか?」
と質問すると、投票率が25%もアップしたという(『実践 行動経済学── 健康、富、幸福への聡明な選択』リチャード・セイラー+キャス・サンスティーン著、遠藤真美訳、日経BP)。
このように先行刺激の言葉によってプライミング効果が発揮され、その後の行動が促進されやすくなる。
売れるコピーライティングのヘッドラインにおけるプライミング効果は、「質問の形」で昔からよく使われてきた。
次の事例は、「読書会ファシリテーター」をプライミングしている。
プライミング効果の他にも、行動経済学の理論とコピーライティングの原理原則が密接に関連している部分は多々あるので、本書の該当箇所で適宜解説していく。
次回は、セールスメッセージの基本構造を紹介しよう。
P.S.『コピーライティング技術大全』の活用法を解説したセミナー動画をご覧いただけます。
(この動画は予告なく終了することがあります)
(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)