新築マンション市場が、投資・転売・節税目的の購入者層で沸いています。一方、東京23区の新築マンションの平均価格が8000万円超と高騰する中、平均給与433万円の一般庶民には到底買えない状況に……。いびつなマーケットにおいて、2022年以降の住まい選びはどうすればいいのか? そこで編集部では、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵さんと、近著『ここまで変わる!家の買い方街の選び方』(祥伝社新書)が話題の不動産プロデュース業を展開する牧野知弘さんのお2人に、賢いマイホーム選びをテーマに対談していただきました(対談実施日:2021年12月23日)。全7回連載の第4回をお届けします。バックナンバーはこちらからどうぞ(構成/北野啓太郎)。
30~40代で買った家、90歳までそこで暮らしますか?
編集部 ここまでの対談で、タワーマンションなどの高級新築マンションが高倍率で完売したり、マンションの価格が上がっていったりする背景がよくわかりました。今回、自分達が暮らすための住まい選びとして、2022年以降に持っておきたい考え方を聞かせていただければ嬉しいです。
牧野知弘(以下、牧野) 不動産のこれまでの考え方といえば、「30代・40代で、ものすごく緊張して巨額のローンを組み、マンションや戸建を買って終の住処(ついのすみか)にする」というのが主流でしたよね。でも、30代・40代のときの社会的なポジションや家族構成で決めた住まいを、80歳や90歳になるまでずっと同じって何かおかしいんじゃないかな、と僕は思っています。その時々によって働き方は変わってきますし、自分を取り巻く環境や家族も変化します。それらに従って、住む家も変えていけば良いのではないでしょうか。
たとえば、本拠地はあるんだけれども、季節や自分の働き方に応じて場所を変えていく2拠点生活です。「家を1回買ったら、住まい選びはそれで終わり」というのは、すごく残念な気がします。様々な地域でいろいろな暮らし方を試してもらいたいし、多様な経験をする方がきっと人生をもっと楽しめるんじゃないかな。
日下部理絵(以下、日下部) 昔の住宅双六は、もう完全に崩壊しましたよね。ただ、国土交通省が5年に1度行っている調査によると、マンションの永住意識は49.9%→52.4%→62.8%と調査をするたびに上がってきているんですよね(参考:国土交通省「マンション総合調査結果」)。
牧野 僕は、その考えが間違いだと思っています。若い時に買ったマンションにずっと住み続けるという発想ではなく、マンションはどんどん住み替えればいい。自分の年齢や置かれているポジションに応じて気楽に住み替えていくみたいなところが、これからは大事なんじゃないかなと思っています。