五輪・パラリンピック選手村として活用された『晴海フラッグ』の分譲マンションが、高倍率で完売し話題となりました。首都圏では新築マンションが極めてよく売れ、価格も高騰する中、今は買い時なのか!? また、マンション価格はなぜここまで高騰しているのか? 給与所得者の平均給与が433万円と依然低水準の中、手が届かない一般層はどこに住めばいいのか…。編集部では、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵さんと、近著『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(祥伝社新書)が話題の不動産プロデュース業を展開する牧野知弘さんのお2人に、夢のマイホーム購入をどう考えたらいいかについて対談していただきました(対談実施日:2021年12月3日)。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ(構成/北野啓太郎)。
投資家目線と居住者目線では、物件の判断が異なる
日下部理絵(以下、日下部) 今、築30~40年のマンションをフルリノベーションして住むっていうのは、ひとつ流行っていますよね。だけど「ちょっと無理してでも新築を買ったほうがいいのかな?」と悩む方は多いと思います。
極端な例えですけど、東京・表参道の極小の築40~50年のリノベーションマンションと、葛飾区金町のまだ築1年経たない駅近タワーマンションで、価格が同じだった場合はどっちを買ったらいいですか?
牧野知弘(以下、牧野) 投資家目線で見たら、表参道を買います。日々の生活だとか、住み心地だとか、そういうのを考えるんだったら葛飾がいいでしょうね。
日下部 なるほど。同じ価値でも見る視点が違うわけですね。
牧野 マンションの資産価値の議論をする際、ごっちゃになりやすいのが、鷹の目を持った不動産投資家の視点と、虫の目を持った住み心地や学校など生活価値観での視点です。実はこの視点、相当違うんですね。僕はJ-REIT(不動産投資信託協会)の社長もやっていたので鷹の目を持った国内外の投資家さんと沢山のお付き合いをしているんですけど、頭の構造が全く違うんです。