定年後、東京・八王子の賃貸戸建てで大成功!

定年後に東京・八王子の賃貸戸建てで大成功! 不動産ビジネスの新潮流とは?牧野知弘(まきの・ともひろ)
東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研株式会社代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。講演活動に加え多数の著書を執筆している。祥伝社新書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題』『不動産で知る日本のこれから』『不動産激変』『ここまで変わる! 家の買い方 街の選び方』などがある。

牧野 その知人は定年退職して、親御さんが持っていた東京・八王子市の家作(貸し家)を4~5軒相続したんです。八王子って都心からは外れているじゃないですか。一見難しそうなのですが、賃貸の戸建って数が少ないので「ファミリーで賃貸戸建に住める」というところにフォーカスしたら、すごく上手くいったそうです。今は十数軒に増やしていて、全部賃貸戸建。都心のマンションがいい派もいれば、郊外の自然が好き派もやっぱりいますからね。

 相続戸建を買って、賃貸戸建にする。不動産ビジネスの中では今後かなり出てくると思うので、割とそれを先駆けてやっている良い事例だなと思い、すごく興味深く話を聞きました。

日下部 私も偶然、八王子で相続した戸建ての話を聞きました。相続人が複数の不動産屋さんに相談すると、「建物を壊して土地で売りましょう」と提案されることがほとんどだったそうです。でも中には、「建物はちょっと古いけど、綺麗にして売りましょう」と言ってくれた不動産屋さんがいて、中古戸建てとして売りに出すと内見の問い合わせがすごく来たそうです。駅から徒歩15分以上離れているところにもかかわらず。

牧野 都心のマンションに住んでいるいけど、八王子の戸建ても買って「ちょっと高尾山に登りに行く」みたいに、自然環境に近いところにも家を持つ人が出てくるかもしれないですよね。

日下部 働き方も変化していますしね。

牧野 あまり通勤しなくてよくなったというのは、不動産マーケットをものすごく変える可能性があります。パソコンがあればどこでも仕事ができるというテレワークや在宅勤務が広まってくると、八王子だろうが、川越だろうが、そこで良いと思う物件に自分で投資したり、あるいは自分で借りたりしてもいい。マンションでも戸建てでも、いろいろな使い方ができるようになるんじゃないかな。

日下部 都心と比較すると、ものすごく安かったりしますしね。

牧野 あと、マンション投資家として儲けたいのなら、「投資はいったんやめにして、マーケットが良い状況になったら再び投資をする」みたいな休止期間を設けないと、買い替えている限り高くなったマンションを買うことになってしまうのがマンション投資の難しいところです。そこのバッファとして、こういう賃貸戸建を上手く使っていくというのは、余裕のある人たちは今後やっていくだろうと思います。