会社員でも自分で落とせる経費がある

 テレワークの費用を取り戻すことはできませんが、会社員でも確定申告をして、前記の特定支出控除を受けることで、還付金を受け取れる可能性があります。

 特定支出控除が適用されるのは、特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超えた場合で、超過分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます(下図参照)。勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等)については、控除の上限額が合計65万円までとなっています。また、どの特定支出についても、会社から補てん金が支給されていて、その分に所得税が課税されていないときは、その補てん金を特定支出に含めることはできません。

テレワーク、副業の“自腹経費”や、中途退職者の納め過ぎた税金は確定申告で取り戻せる!?

 たとえば、年収400万円(給与所得控除額400万×20%+44万円=124万円)のケースでは、特定支出控除額が「124万円÷2=年間62万円」を超えると適用されます。なかなかのハードルですが、研修費や資格取得費などを支払った人は、要件を満たす可能性は十分にあるでしょう。

 なお、同控除を受けるには「特定支出(○○費)に関する証明の依頼書」に、業務に使った費用であることの証明として、会社に判を押してもらう必要があります。この点については、規模の大きくない会社のほうが、融通が利くかもしれません。