オンライン研修で成果を上げるために必要な“ひと工夫”とは?Photo: Adobe Stock

オンライン研修が急増しています。コロナ禍での対面研修の代替という域を超え、1ジャンルとして定着してきたといえるでしょう。ただ、オンライン研修については、講師の熱量が伝わらない、長時間集中できない、接客などの実践を伴うものには不向き、と感じている人も多いものです。『全員を戦力にする人財育成術』の著者で、日本マクドナルドやユニクロで人材育成に携わった有本均氏(現ホスピタリティ&グローイング・ジャパン代表取締役会長)が、オンライン研修で成果を出すために必要な“ひと工夫”について解説します。(構成/ダイヤモンド社・大坪稚子、著者撮影:大崎えりや)

研修の間口を広げたオンライン研修

 前回は研修の成果を上げるためには、研修後のフォローが大事であることをお伝えしました。研修で学んだことが実際に業務に活かされているか、それをチェックし評価する仕組みがなければ、研修もやりっぱなしで終わってしまいます。

 今回は、コロナ禍で急増したオンライン研修について、どうすれば効果的に活用できるかについて解説しましょう。オンライン研修とは、Zoomなどのオンライン会議ツールを利用したものです。コロナ禍で「人が集まるのを避ける」という集合研修の代替にとどまらず、今では研修の一つのかたちとして定着してきました。特に、サービス業界においては、オンラインはスタッフへの研修の間口を広げたと考えています。どこからでもネットにつないで受けられるため、地方の方や、長時間、現場を離れられないスタッフが研修を受けられるようになりました。

 私も実際にオンライン研修に講師として登壇していますが、画面越しに受講者を見ると、自宅の方はもちろん、クルマを停めて車内から受講している方、お店のバックヤードから参加し、時々、業務で画面から消えてしまう方など、環境はさまざまです。受講はスマートフォンからでもできますが、パソコンやタブレットでつないでいる人が圧倒的に多い印象です。

 ある大手サービス業では、年間教育費の約8割が交通費と宿泊代で占めていたといいます。オンライン研修では、このような移動費や宿泊代を抑えられますから、大幅にコスト削減ができます。その分で、より効果の高い教育プログラムを導入することもできるでしょう。

 他方、オンライン研修では、対面研修にくらべて受講者の集中力が持たないことや、接客などのように実践を伴うものには向いていないといわれることがしばしばあります。つまり、オンライン研修は対面の置き換えではなく、オンラインならではの“ひと工夫”が必要なのです。