「もちろんピッチに立っている時間にチームを助けたいし、それができていない状況は悔しい。ただ、年齢的にイライラしてもダメなので、消化して次の試合へ向けている。必ず自分の力が必要とされるときが来ると信じてやっていくだけです」

 ベテランの域に入りつつある原口の献身的な姿勢は、なかなか出場機会を得られないチームメイトたちのベクトルを前へ向けさせる。先発に指名される選手は、リザーブ組の思いも背負って試合へぶつける。必然的にチーム内に好循環が生まれる。

選手たちの個性が一つになり、
組織として理想的な状態へ

 キャプテンにして精神的支柱でもある、DF吉田麻也(サンプドリア)をけがで欠いた今回の顔ぶれも、一人一人の責任感を増幅させる状況を導いた。森保監督が言う。

「これで麻也が帰ってきて、キャプテンシーを発揮してくれると、さらにレベルアップした日本代表を作っていけるんじゃないかと思っている」

 長友や伊東、原口に代表されるさまざまな個性が一つになり、組織として理想的な状態へ昇華した結果として、7大会連続7度目のワールドカップ出場へ王手をかけた。もちろん、誰もが強調したように、日本はまだ何も成し遂げていない。

 敵地シドニーで3月24日に行われる、オーストラリアとの次戦で敗れれば勝ち点18で並ばれ、得失点差で劣る日本が3位へ転落する。そのままアジア最終予選を終えれば、アジアプレーオフを経て南米5位との大陸間プレーオフに回るいばらの道が待つ。

 アジア最終予選の歴史を振り返れば、敵地でのオーストラリア戦は2分け1敗と未勝利が続く。不吉なデータを覆すためにも、おのおのが所属チームで再び自己研さんに努め、シドニーで顔を合わせるときにさらにパワーを増した組織を形成して対峙(たいじ)するしかない。