しがらみや常識から解放され、望む方向に進むほうが人は幸せになれるものだ。でも実際にそこに向かうのはとてもハードルが高いと感じてしまう。頭の中で誰かが「本当にそっちで大丈夫?」と不安にさせる。

 そうした思考は、母親に言われてきたり、友達に相談した時に応えられたりした一言に由来するかもしれない。だから、もしもそのような声が聞こえてきたら、「あなたは私が本当に求めているものを知っているの?」と逆質問してみよう。問いかけることで消えていくのであれば、それは自分の求めているものとずれている「偽物」だ。この偽物の思考をどんどん消していくと、「静かな自分が求めていること」だけが残る。自分の望む方向に進めるようになると、「これまでの寄り道もムダじゃなかった」と思えてくる。

 また、「不幸な未来」を予測して、起こったらどうしようと不安に感じているうちに現実になってしまう、ということもある。心配の種を潰すために対策を次々と重ねることで、「未来を変えてしまっている」可能性がある。「先のことを考える」ことがそのまま、未来を悪くしているのだ。

 だから、先のことを想定しないようにする「未来を変えない」メソッドが大事である。「未来を変えない!」と頭の中で唱えるだけで、不幸な現実が生まれなくなる。自分が望んだ対応を受けられるし、自然と行きたい方向に自由に進めるようになるのだ。

◇意味あることをしない価値

「自分は一体何をしたいのだろう」「頑張っているのになぜか人生がむなしい」。このように考えるのは、「すべての自分の行動に意味を持たせないといけない」と思い込んでいるからかもしれない。意味のあることや人の役に立つことができていないと暗い気持ちになったり、周りから「頑張っている」と言われても腑に落ちなかったりする。常に意味を求めていると、意味を感じる感覚が麻痺してくるのだ。

「意味のあることをしない」メソッドを実践すると、意味を感じる感覚を元に戻すことができる。「温泉に意味がない」と思うならむしろ温泉に浸かりに行き、居酒屋でひたすらどうでもいい話を続ける。すると、「意外に楽しいかも」という気持ちに変化するのだ。リラックスした心地の中で自分の感覚が戻ってくる。いつの間にか、「好きなこと」をきちんと感じられるようになっている。自分がやってきたことの意味に気づいて、「こんなことをしたい」という新しい方向性も生じてくるはずだ。