「ややこしい話をシンプルに説明する人」や「瞬時に自分の意見を出す人」を見ると、多くの人が「この人は頭がいい」と感心する。なぜ「頭のいい人」は、いつでも「スジの良い意見」や「わかりやすい説明」ができるのだろうか。
会員数100万人超の「スタディサプリ」で絶大な人気を誇るNo1現代文・小論文講師が、早く正確に文章を読み、シンプルでわかりやすい説明ができる頭の使い方を『対比思考──最もシンプルで万能な頭の使い方』にまとめた。学生から大人まで「読む・書く・話す」が一気にロジカルになる画期的な方法で、仕事や勉強に使える実践的なものだ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

対比思考
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「だって、そう言ったじゃないか!」

 相手の言語表現を受け取る技術は、ことばのキャッチングの技術です。キャッチボールでも受ける技術が高いとやり取りは楽しくスムーズです。

 プロレベルでもキャッチャーが信頼できる技術をもっていれば、ピッチャーは最大のパフォーマンスを発揮できます。ゴールデングラブ賞を獲得するような優れた野手はバッターが打った瞬間にしかるべき方向に体が動いています(catchには語源的に「追う・追いかける」という意味があります)。それにより多くの人が取り逃がすようなものを捕球できます。

 これを言葉の理解に置き換えてみましょう。やはり巧拙、上手・下手の差が生じます。

 最もまずい聞き取り方・読み方は、話されたもの・書かれたものが、すべてその話者・筆者の意見ととらえる誤解です。対比でとらえていないということです。

 テレビの報道番組やワイドショーへのクレーム電話のかなりの部分がこのレベルの誤解だそうです。アナウンサーやコメンテーターが引き合いに出したもの、つまり対比相手を本人の意見と受け取ってしまうケースです。

「だって、そう言ったじゃないか」というわけです。

 言ってもそのすべてが話者の意見ではない。説明や解説は、説得的なものほど対比でなされると知っていないと恥ずかしいほどの誤解をします。

 もちろん、自説と前フリが曖昧な話者もいます。私たちはこれを反面教師としましょう。

誤読が広がってしまった『学問のすすめ』

 誤読というものもあります。福澤諭吉(1835~1901)の『学問のすすめ』(岩波書店)も有名なわりには誤解の方が多いくらいの本です。