米韓同盟を弱体化させた
文政権を米国は救ってくれるか

 韓国の中央日報は、「危機のウクライナ、これが同盟のない憂い…北朝鮮と中国も注視」と題する記事を掲載している。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、ロシアのプーチン大統領が前日に「平和維持」名目でウクライナのドンバス地域への軍の派遣を命令したことを「主権侵害」と糾弾し、西側パートナーに「確実な支援を待つ」と述べた。

 これに対し、西側パートナーである米国と西欧諸国は、軍事介入よりも外交と貿易・金融カードに言及しているだけである。多くのメディアはその理由について、米国や西欧諸国がウクライナと同盟国ではないからであると論じている。

 バイデン大統領は、ウクライナの主権と領土保全について「揺るぎない」支持を数回にわたり表明してきた。しかし、ウクライナの救済のために米軍を投入する意思は示していない。バイデン大統領が昨年、アフガニスタンから一方的に米軍を撤収させたことも想起する必要がある。

 もちろん韓国とウクライナでは状況が異なる。米韓の間には相互防衛条約があり、一方が武力攻撃を受ける場合、別の一方も自国の安全を脅かす行為とみなして対処することになっている。米国はこれを「強固な防衛公約」と述べている。

 しかし、文政権の対中姿勢や北朝鮮への対応は、米韓同盟関係を弱体化させている。

 昨年5月の米韓首脳会談の共同声明で、「韓国と米国は規範に基づく国際秩序を阻害、不安定または脅かす行為に反対する」とし、「我々は韓米同盟が国際的な役割を拡大することで重大な挑戦に対処できることを認識する」と宣言した。

 しかし、その後の文大統領の行動は、中国の意向に忖度(そんたく)するあまり、米国主導の協力体制からは距離を置いている。また、北朝鮮については終戦宣言に固執し、米国の懸念に応えていない。

 このような行動を取りながら、有事の場合に米国の支援を期待するというのはムシのいい話であろう。米韓同盟を盾とする意向ならば、平時から米国や日本・豪州・インドとの関係を最も重視する姿勢を示す必要があるだろう。文大統領は身勝手な行動が多すぎる。