“さしすせそ”はもう古い
調味料戦国時代

 調味料の王道と聞くと「さしすせそ」こと、砂糖・塩・酢・しょうゆ・みその五つを思い浮かべる人もいるだろう。しかし、“さしすせそ”が単体で買われる時代は10年ほど前に終わっているという。

「単体のさしすせそに代わってブームになったのが、加工調味料です。加工調味料とは、ハーブ入りの塩、クルミ入りみそ、めんつゆなど、基本の調味料に食材がプラスされているもの。これにより、料理の味付けが格段にラクになりました。その次に登場したのが、そのままごはんのお供になる食べる調味料。一世を風靡(ふうび)した桃屋の“食べるラー油”を皮切りに、現在も種類が増えています。そしてコロナ禍以前は、ナンプラーをはじめとするエスニック系調味料が人気を博しました」

 近年では“パンのお供”になる調味料が市場を拡大している、とMICHIKO氏。長年続いているパンブームのなかで、定番のフルーツ系ジャムだけでなく、黒豆やきなこのジャムなどの変わり種調味料が売り場に並ぶようになったという。

「そして、現在のコロナ禍で台頭しているのが、メニュー専用調味料です。一つの袋に合わせ調味料がパッケージされていて、自分で調合する必要がなく、そのまま調理に使えます。昔から味の素の『クックドゥ』シリーズのように、食材と一緒にフライパンで炒める専用調味料はありましたが、肉料理が中心でした。しかし、最近は、自炊しにくい『アクアパッツァ』などの“魚料理”に使えるものが増えています。少々値段は張りますが、外食と同じくらいのクオリティーの料理を手軽に食べたい、というニーズにも応えていますね」

 調理方法もフライパンで蒸すだけ、調味料が入った袋に食材を入れてレンジで加熱するだけなど、手間と時間がかからないものがほとんど。料理の時短につながるという。

「料理を一から作るなら“さしすせそ”は必須。でも、少しずつ調整しながら味を調えるのは、時間も手間もかかる大変な作業なんですよね。めんつゆ料理などの加工調味料も便利ですが、それでも量の調整は必要です。その点、メニュー専用調味料は、失敗せずにメインディッシュが作れる。特に自炊生活で毎日料理を作る大変さが身にしみた人が、メリットを感じているようです」

 また、メニュー専用調味料は購入する時点でメニューが決まっているので、献立を考える時間も不要。忙しい現代人のニーズにマッチしたアイテムだという。