健康のことを考えて、1日の摂取カロリーや糖質を気にする人が増えている。しかし、塩分摂取量も忘れてはならない。特に健康診断の結果に一喜一憂することの多いミドル世代は、塩分の過剰摂取に注意が必要だ。一方で、塩分は人間の生命維持に欠かせない。書籍『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』(牧田善二著、ダイヤモンド社)を参考に、ミドル世代の塩分との付き合い方を探る。(文/鈴木 舞)
ミドル世代が注意すべき高血圧
最適な塩分摂取量とは?
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』によると、健康な日本人の成人男女の1日の食塩摂取量の基準は、「男性が7.5g未満、女性が6.5g未満」とされている。しかし、男女共にこの基準を上回っているのが現状だ。
同省が実施した『平成30年国民健康・栄養調査』によると、基準よりも平均して2g程度上回っている。2g程度の食塩摂取量とは、濃口しょう油に換算すると小さじ2杯強に相当するという。(参考:厚生労働省eヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」)
高血圧の人であれば、さらに注意を払わなくてはならない。日本高血圧学会では、厚生労働省の基準よりさらに少ない「1日6g未満」を、1日の食塩摂取量の基準として提唱している。
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧がある。二次性高血圧とは、疾患に伴い高血圧が引き起こされる状態だ。基礎疾患を持たない人の高血圧は、本態性高血圧に分類される。日本人の高血圧のほとんどが、本態性高血圧だ。本態性高血圧の原因は、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、過度のアルコール摂取、ストレスなど。中でも、塩分の過剰摂取が原因で高血圧を引き起こす人は少なくない。
書籍『医者が教える食事術 最強の教科書』の著者である牧田医師も、患者の尿検査の結果を通して食塩過剰摂取を目の当たりにしたという。
「40歳くらいを境に塩分摂取量に違いが見られます。若い人たちは少ないのですが、40歳を超えた男性の中には1日15グラムもとっている人がいます」(『医者が教える食事術 最強の教科書』より)