日本の輸入車市場は国産車との競合が激しい。外国車の販売台数は、昨年(21年)で25万9752台、前年比1.4%増だが、これは国内新車総販売約450万台のうちの1割にも満たない。さらに、ブランド別販売では1位の独メルセデス・ベンツが5万1722台、2位の独BMWが3万5905台、3位の独フォルクスワーゲン(VW)が3万5215台と、「ジャーマン3」と呼ばれるドイツブランドの3強が圧倒的である状況が続いている。

「日本の自動車市場は、世界でもまれに見る激戦市場であり、日本市場で実績を残せば本国に帰っても高い評価を受けることができる」とは、輸入車法人トップが口をそろえて語る言葉である。

 現在、世界で注目されるテスラも、日本市場においてはこれまで販売実績を伸ばせなかった事実がある。テスラは10年に日本市場に進出したが、ディーラー網を持たないオンライン販売方式を採用したため、なかなか浸透しなかったのだ。

 ただ、昨年2月に主力車「モデル3」を大幅値下げしたことで、日本でも販売を伸ばしつつある。これは、テスラが米カリフォルニア・フリーモント工場(トヨタとGM合弁工場の跡地)から中国・上海のギガファクトリー3工場に製造輸入を切り替えて、搭載電池を含む製造コストと輸送コストを大幅に削減したことで実現した値下げだ。

 日本での主力車「モデル3」の普及版「スタンダードレンジプラン」は511万円から429万円に、「ロングレンジ」は655万2000円から499万円に値下げした。これにより、国と東京都の補助金(合計で約125万円)を合わせると、普及版では実質300万円前後で購入できるようになった。結果、昨年のテスラ車販売は5232台で前年比約2.8倍となった。

 ちなみに、テスラは日本での販売統計を公表していないが、日本自動車輸入組合(JAIA)統計の中のOthers(その他)のほとんどがテスラだと推測される。事実上、Othersの台数をテスラの台数とみなして問題ない。