スズキワゴンRスマイルワゴンRスマイルのお披露目をするスズキの鈴木俊宏社長

半導体不足の逆風下で
ヤリスとワゴンRが首位に

 10月の国内新車販売において、登録車ではトヨタ自動車の「ヤリス」が、軽自動車ではスズキの「ワゴンR」がそれぞれ首位を獲得した。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)と、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した10月の車名別販売台数によれば、登録車ではヤリスが1万596台、軽自動車ではワゴンRが速報値ベースで8808台を販売している。ヤリスとワゴンRは、新車販売全体でもそれぞれ1位と2位になった。

 ヤリスは16カ月連続で首位を確保しているが、軽自動車販売でワゴンRが首位となるのは、6年10カ月ぶりのことだ。

 現在、国内の自動車販売は、コロナ禍での半導体供給不足に加えて東南アジアからの部品供給の遅滞により、納車遅れが常態化している。つまり、自動車ディーラー(販売会社)にとって「“弾不足”で売りたくても売れない」状況が続いている。

 実際、10月の新車登録・届け出の登録車と軽自動車の新車総販売は、前年同月比で31%減の27万9341台にとどまった。前年同月の実績を下回るのは4カ月連続で、10月単月の販売としては過去最低だ。

 こうした逆風下で、ヤリスとワゴンRがベストセラーカーになった(なっている)のは、どんな要因があるのか。また、ユーザーを引きつける魅力はどこにあるのか。

 まず、登録車市場でのトヨタ・ヤリスの強さを考察していこう。