もっともテスラの5232台という日本での販売台数は、テスラが昨年の世界販売で90万台超えとなったことから見るとかなり少なく、輸入車ブランド別でも13位程度にとどまっているのが実態だ。

 時価総額でトヨタを抜き、かつBEV専業にもかかわらず年間生産・販売が90万台を超えたことで世界の耳目を集めるテスラだが、日本国内では進出から10年が経過しても、この程度の販売ボリュームなのだ。現代自の再上陸の厳しさは推して知るべきだ。

 ところで、現代自が日本再上陸してその成り行きが注目されているが、もう一つ隠れた“日本再上陸ブランド”がある。

 それは、独オペルだ。オペルは、かつて米GMの傘下にあり、GMの欧州戦略の中心ブランドであった。また、日本市場では輸入車販売の雄、ヤナセがVW車販売からオペル車販売に乗り換えて、日本の輸入車トップブランドに押し上げ一世を風靡(ふうび)した時期もあった。しかし、その後GMは06年にオペルの日本市場撤退を決めるとともに、業績悪化から17年には仏グループPSA(プジョー)に売却している。

 GMからオペルを買収したPSAは、昨年欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と統合し、欧州「ステランティス」として発足、世界6位の自動車メーカーとしてスタートを切った。ステランティスはプジョーグループの一員として、オペルの日本再上陸も決めたのだ。

 オペルの日本市場再進出は、昨年夏から東京、名古屋、大阪など主要都市で販売開始と発表されていた。さらに第2弾として23年までに全国15~20都市で正規ディーラーによる本格販売を展開することになっていた。

 しかし、ステランティスは、このオペル日本市場再参入の時期を23年以降に延期する方針に転換した。その理由は、コロナ禍が長引き販売網のセットアップが遅れていることに加え、半導体不足などで生産が遅れているためとしている。