介護についても、70代の子が親を介護するケースや、70歳を過ぎて、親との死別を経験するということも多くなるでしょう。

 長寿化によって、これまでは60代で迎えていたような人生のさまざまな節目を、70代になってから経験するケースが増えるはずです。これらの節目は、生活環境が一変する可能性があるという意味で、その後の老い方を大きく左右する危険性をはらんでいます。

 人生の節目をどう乗り越えていくかという意味でも、70代をどのように過ごすかが大事になってきていると言えます。

70代に身につける「習慣」が、
その後の人生を救う

 これまで述べてきたとおり、70代にとって重要なのは、身体機能も脳機能もいまもっているものを使い続けることです。70代の時期に意図的に使い続けていれば、80代、90代になって要介護となる時期を遅らせることができます。

 まずは、活動レベルを落とさないよう、「意欲の低下」を避け、前頭葉と男性ホルモンの活性化を促す必要があります。

 そして、意欲レベルの維持と同時に、70代にとっては、使い続ける「習慣づくり」が大切になります。

 なぜ70代にとって「習慣づくり」が大事かというと、多くの人が70代前後で仕事からリタイアするからです。

 働いているときであれば、ルーティンがあるので、必然的に活動せざるを得ませんが、リタイアをしてしまうと、これといって身体を動かしたり、頭を使ったりする理由がなくなってしまいます。

 つまり、この時期から、意図的に身体を動かそう、脳を使おうと習慣化しないと、運動機能も脳機能も使い続けることはできないということです。

 また、もう1つ、70代の習慣づくりが大事な理由があります。それは、70代で始めた習慣は80代以降も生涯にわたって続くということです。

 たとえば、70代で日ごろから歩こうと心がけて、散歩の習慣がついた人は、それを80歳になっても続けるものです。