前頭葉とは、大脳の前方部分のことで、意欲や思考、創造などにかかわっている部分です。また、男性ホルモンも、性機能だけではなく、他者への関心や意欲にもかかわっています。この2つの要素が、若いときのように維持できていると、日常の活動レベルを保つことができ、老化を遅らせて、若々しくいることができるのです。

 どういった生活を送れば、前頭葉と男性ホルモンが活性化できるのかは、本書の第2章で具体的に述べていきます。

70代には
さまざまなリスクがある

「意欲の低下」以外にも、70代を襲うリスクにはさまざまなものがあります。もっともわかりやすいのは、病気やケガなどの健康上の問題です。大きな病気や、転倒によるケガなどから、70代の人が一気に老け込んでしまうということはよくあることです。

 がんや脳梗塞などの人もこの年代は増えてきますので、そういった病気にどう対処するかが重要になってきます。

 手術をするか、しないか。どういった検査をするか、どういった治療をするかといった、医療とのかかわり方において、重大な決断を迫られることもでてきます。本書でも第3章で、70代にとっての医療とのかかわり方、病気とのかかわり方を述べています。

 意外に知られてはいませんが、うつ病も70代の大きなリスクです。うつになると、如実に身体を動かすことがおっくうになり、外にも出なくなります。たとえば、以前は頻繁に参加していた趣味の集まりや、顔見知りが集まる高齢者の「いこいの家」のような場所にいくら誘っても、絶対に行かないというようなことも起こってきます。

 食欲も確実に落ちるので、みるみるやせてしまいます。それも脂肪が落ちるのではなく、筋肉から落ちるという最悪の状況をたどるので、うつになると一気に老け込んでしまうのです。

 女性の場合は、女性ホルモンが減少してきますので、さらに骨粗しょう症の人も増えてきます。

 なんらかの持病がある人が70代では増えてきますので、医療とのかかわり方がその後の80代を左右する大きなポイントとなってきます。

 健康問題だけでなく、日々の生活面でも、70代は多くのリスクに囲まれています。長寿社会が進んだことで、これまで60代で迎えていた仕事からのリタイアも、今後は70代でリタイアする人が増えてくるはずです。