日本の昔ながらの雇用制度は崩壊し、アメリカ型のジョブ型雇用がついに日本でも始まる。弁護士で国際経営コンサルタントの植田統氏の新著『2040年「仕事とキャリア」年表』からの抜粋で、日本企業が採る従来型のメンバーシップ制度がたどってきた変遷と、その限界について解説する。
実は「定年制」は、
強制的な解雇システムだった
日本企業の定年制は、どのようにできあがってきたのでしょうか。
旧日本軍の規定が後の日本企業に大きな影響を与えたと言われています。軍隊では体力が要求されるので、階級ごとに一定年齢を超えると退役させるという仕組みを取っていました。
昭和時代の日本企業でも、体力を必要とする工場労働者が多かったことから、軍隊の定年制を真似するところが増え、退職後の生活を保障するために退職金を支給するという慣行ができあがったのです。
これが、定年制という「強制的な解雇システム」です。
メンバーシップ雇用の下、いったん会社で雇い入れてしまうと、年功で昇進し、年功で給与が上がっていきます。しかし、社員は高齢になれば、知力も体力も衰え始めます。それにもかかわらず、高い給与を取り続けられたら、会社の経営は圧迫されてしまいます。
こうした現実を解消する唯一の手段として定年制が生き残っているのです。