米国バイデン政権は
尹錫悦氏の当選を大歓迎

 米国は、尹錫悦氏の当選を、韓国の対米・対中関係、米韓同盟のあり方を抜本的に変革する好機と考えている。

 尹錫悦氏は米国側の要請により10日午前にバイデン大統領と電話会談を行った。電話会談では、インド太平洋の平和と安保、繁栄の要である米韓同盟の力を確認し、北朝鮮の核とミサイルプログラムによる脅威に対応するに当たり、緊密な連携を維持していくこと約束したという。また、バイデン大統領は尹氏をホワイトハウスに招待した。

 この電話会談は予定を1日早めたといわれている。そのことからも、米韓関係の強化、および、韓国がインド太平洋における連携に参加することに、米国が強く期待していることがうかがわれる。

 米国の朝鮮半島問題の権威であるビクター・チャ氏(米戦略国際問題研究所韓国部長)は、「バイデン政権の複数の関係者が昨年、クアッドの最初の首脳会談前に韓国に参加を打診したが拒否された」と明らかにした。

 これに対する文在寅政権の説明は「米国は韓国にクアッドへの参加を要請したことはない」というものであったが、論理的に考えてそのようなことはあり得ないとチャ氏は論評している。

 それにはいくつか理由があるが、最大のものは「米国がアジアの主要民主主義国家による協力体制を構成するに当たり、最も近い軍事同盟の韓国を含まないのは理解できない」というものである。

 バイデン大統領が今春、クアッドの首脳会議のために訪日する際、日米韓3カ国首脳会議を同時に推進する可能性が浮上している。ある外交筋は「バイデン大統領が尹次期大統領にクアッドへの加入を求め、韓国がこれを受け入れる可能性も排除できない」との見解も示している。

 今後韓国の米中間での立ち位置も変わってくるだろう。それに危機感を抱いているのが中国である。