写真:カーリング写真はイメージです Photo:PIXTA

 以下はまったく架空の会話である。イメージとしてはカーリングの日本代表(女子)に関係する人たちが、今後の代表選手の選抜のあり方について語っている鼎談(ていだん)として見てほしい。

【1】最強チームを作るにはどうすれば良いか

A氏 金メダルを取ったイギリスは選抜チームだった。日本はその国のトップチームが出場している。これはどちらが良いのだろう。

B氏 4人それぞれにスペシャリストが必要だ。それぞれ最高のスペシャリストを選んで組み合わせて最適のチームを構成することを考えても良いのではないか。他のスポーツもほとんどは選抜チームだ。

C氏 カーリングは、互いの相互信頼に基づく関係性が大事だ。それは長年の経験の蓄積によって初めて生み出されるものである。選抜した選手間でそう簡単にチームワークは生まれないのではないか。

B氏 ただ、有力チームに分かれている選手たちの現在の組み合わせが最適かどうかはわからない。多様な選手の組み合わせを試してみて、そのうえで評価し直すのが良いのではないか。それに今の固定したチーム主体での代表選考だと、有望な若手が出てきても他の3人(リザーブを含めると4人)に恵まれない限り、世界にデビューできない。その点、選抜だと、他チームのレベルの高い選手と組むことで、能力の向上も図れるし、若いうちから国際経験も積むことができる。

C氏 別の人と組むと、選手間にあるもともとのあうんの呼吸や良い関係性も壊れてしまう可能性もある。一度失うと取り戻すのは難しい。「覆水盆に返らず」で、次のオリンピックではどうしようもない大失敗になる可能性もある。

A氏 しかしながら、ロコ・ソラーレも他の有力チームも、このままメンバーの主力が大きく変わらないのであれば、その伸びしろはかなり限定されるのではないか。今回も銀メダルが取れたとはいえ、トータルで見れば6勝5敗であり、勝負強さとラッキーで成果は出たが、実力はそこまで高くはなかったともいえる。

C氏 確かにヨーロッパのサッカーチームでも、メジャーの野球チームでも、その年チャンピオンになったとしても必ず選手を入れ替える。新陳代謝をして、チームにゆらぎを作らないと全体のパフォーマンスは落ちるといわれている。実際に同じメンバーだと新たな発見や工夫の余地も減ってくるよね。

【2】「ビジネス的視点」では何が最適か

C氏 とはいえ、今のロコ・ソラーレの人気を考えると、代表の選抜とはいえ、それを解体するような動きをしたら、日本中から大きな批判を浴びるのではないだろうか。日本中が4年後に彼女たちが金メダルを取ってくれることを期待しているはずだ。