B氏 しかし、ロコ・ソラーレの人気ではなく、カーリングそのものの人気を上げていくためには、むしろ他チームの選手や日本代表に社会からのもっと大きな注目が当たるようにしたほうが良いのではないだろうか。そのためにも、日本代表候補をたくさん指名し、そこから代表が絞り込まれて最終的に代表が選抜されるようにしたほうが良いだろう。それは必ず社会的注目を得られる。

C氏 確かにサッカーもラグビーも他のスポーツはそうやって社会的注目を浴びることに成功してきたことは認めるけれども、カーリングの人気はチームワークの美しさの人気でもあるから、そんな感じの過酷な選抜の過程を見せるというのは、スポーツのカラーになじまないのではないだろうか。

B氏 でも、そうでもしない限り、これまで通り4年に一度、1つのチームだけが注目される状況からまったく脱却できないのではないか。

【3】実際に運営可能か

A氏 もし選抜で代表チームを作るとしたら、誰がその選手を選抜するのかな?いろいろな選手を公正に評価して、選抜するなんてできますか?

B氏 合宿方式で一緒に基礎訓練をやって、技術を競い合って、いろいろな組み合わせを試して、その中から最適解を選び出すのがいいのでは?

C氏 で、その最適解は誰が選ぶの?

B氏 協会で先に代表監督を選定して、その監督に一任するのでしょうね。

A氏 では、まず代表監督を選ばないと。

C氏 選べる?

B氏 他のスポーツを見ても、誰が監督になっても反対意見は出ますし、また選手についても誰が選ばれてもスポンサーやファンから反対の声が上がるでしょう。

C氏 人気選手を落とすとなったら……もう大変。

A氏 ごたごたが起きるとカーリングそのもののイメージが悪くなりますね。

B氏 まずは協会全体で、監督一任といったバックアップ体制ができない限り無理ですね。

A氏 そう簡単にはいきませんね。皆さん、それぞれご意見があるでしょうから。

C氏 それに、もしそれで失敗したら、もう目も当てられません。

B氏 そういうふうに考えると、今のやり方は、不満の出にくい公平な選抜方法ではありますね。

A氏 起こり得る摩擦の大きさを考えたら、今のままで個々のチームが強くなり、切磋琢磨して、次回、さらに良い色のメダルを取ってもらうことを願うのが一番無難ではありますね。

B氏 うーん。それはそうなんだけども。ほんとにそれで良いのかな。成績をより良くする観点からも、カーリングそのものの人気を上げる観点からも、現状の延長線上では大きな飛躍は見込めないように思えます。

A氏 その点、イギリスは思い切ったこと(代表選手を選抜)をしましたね。やはり前回メダルを逃したからこそ挑戦できたんでしょうか。

C氏 そうですね。その点、日本は今回、銀メダルですからね。この状況下ではなかなか変えられないでしょう。