今、「年金受給者に5000円を臨時給付する」という政策案が話題になっている。これほどしょぼくて恥ずかしい案が登場して、世間に流れること自体が信じられない。その上、深刻な違和感を持つ理由が複数ある。この政策は給付額こそ小さいが、大きな心配を伴うアイデアだ。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
反対者の方が多い政策
年金生活者に5000円給付
政府・与党は、年金受給者を対象に5000円の現金を給付することを検討している。
公的年金の支給額は、年金受給者の購買力を維持しつつも、年金財政の安定性を確保するために現役世代の給与額と物価の変動に応じて調整される仕組みになっている。詳細はいささか複雑だが、今年の4月から年金支給額が0.4%減額される。
年金受給者の手取り収入が減るということであり、折からのガソリン代や電気代、輸入食料品などが値上げ傾向にあって、懐具合がますます苦しくなる。そこで、彼らの「困窮」や「不満」に対処しようということらしい。
しかしこの「5000円給付」は、額は小さいが大きな心配を伴うアイデアだ。率直に言って、このような案が登場して世間に流れること自体が信じられない。