「世の中をあっと言わせる企画を作りたい」「自分の夢を仕事で実現させたい」「ユーザーの気持ちがわからない」「企画書が通らない」「プロジェクトを成功させる方法が知りたい」など商品開発や新規事業を生み出す上でのあらゆる悩みを解決!
本連載の著者は「千に三つ」や「一生涯一ヒット」と言われる食品(飲料)業界において「氷結」「スプリングバレーブルワリー」「淡麗」「キリンフリー」など数々のヒット商品を生み出してきた和田徹氏。実は入社から12年間、ヒット商品ゼロだったという著者。なぜ、失敗だらけだった人が、ヒット商品を量産できるようになったのか? 売れ続ける商品づくりの全技法を明かしたのが『商品はつくるな 市場をつくれ』(3月15日刊行)という書籍です。刊行を記念し、本書の一部を特別に公開します。
とにかく「Why」からスタート
When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の6つで構成される「5W1H」はよく知られていると思います。
この5W1Hを活用するメリットのひとつが、漏れなくダブりなく情報を整理できる点です。商品づくりにおいても、それは力を発揮してくれます。
商品をつくろうとするとき、まず着手したくなるのが、WhatとHowではないでしょうか。コンセプトや特徴、ネーミング(What)を考えるのはワクワクする作業です。どんなコピーにしようか、どんなタレントに出てもらおうか。そういう広告戦略(How)を練るのも楽しいです。
しかし、ちょっと待ってください。5W1Hは、考える順番が重要な意味を持ちます。
つい手をつけやすいWhatとHowばかりに注力していると、開発が進んでいく過程で行き詰まってしまったり、ほかの人から「それって売れるの?」「ほかのオプションはないの?」と指摘を受けたりしたときに、自分でも「はて……」と思案に暮れてしまうケースがあります。
そもそも何をしたくて、その商品をつくろうと思ったのか?
その商品をつくることで、自分は何を実現しようと思ったのか?
そう悩むのは「目的(Why)」にあたる根本的な部分がきっちりと絞り込めていないためです。人に指摘を受けたり迷ったとき、立ち戻って考える拠り所がなく、現在地すらわからなくなってしまうのです。
また、成功を左右するのは、WhatとHowのように目に見える部分だけではありません。
商品の骨格である「その商品の存在意義は何か、どのような未来をもたらすものなのか、いかに人々や世の中の役に立ち社会を良くしていくのか」という「Why」が鍵です。
そういう意味では、5W1Hの中でWhyは最重要であり、別格といってもいいでしょう。1W(Why)を独立させて「1W+4W1H」というフレームワークで捉えていきましょう。
WhenとWhereの違いにも注目してください。お客様が「いつ、どんな時にどこで買って使うのか」はWhatとWhoに入れ込みます。代わりに構想を実現するシナリオやステップ、市場やチャネルなどを入れます。