3回破産したカーネル・サンダース
それに比べれば、全然マシ

会社が資金ショート!「歴史思考」が人生の危機を救ってくれたPhoto:竹井俊晴

――保身のために逃げ回る人とは覚悟がちがいますね。結果的にその会社はどうなったんでしょうか?

深井 当時は本当に危機にあったんですが、なんとか挽回して、今では150人以上の会社に成長しました。その後も、その会社は幾度かの危機を経験したのですが、極限状態を一度乗り越えた組織は強いですね。

――深井さんが『歴史思考』の中で書いているカーネル・サンダースも、10回以上転職して、3回も破産した強者です。フライドチキンのフランチャイズが軌道に乗ったのは65歳を過ぎてからのことです。

深井 サンダースに比べれば、僕なんか全然マシですよね。一度、全部失った時に自分がやるべきことを俯瞰して考えると、世界に生かされている感じがしたんです。そういう感覚になれたのは、歴史を知っていたおかげです。社会のために自分に何ができるかを考えられる人には、自然とお金とチャンスが集まってくる。僕はそれを歴史によって学びました。

 逆に、(キャリアとか収入とか)自分のことばかり気にしている人を、人は助けてくれません。自分自身も失敗を経験して、それをより深く理解できるようになりました。窮地に追い込まれた人間ってすごく孤独です。自分の人生だけが終わった感覚が強まる。

 でも、歴史上には、自分以上に困難に向き合っている人たちがたくさんいます。その史実を知るたびに、「とりあえず僕はまだ死んでないし、名声や資産がなくなったところで、これからいくらでもやり直せる。それもまた人生だよね」って思えるんです。

――『歴史思考』に登場するガンディーも死ぬまでやりたいことを続けていました。

深井 歴史を知るとダイナミックに動けるようになります。悩んだり困ったりした時、どういう行動をとればいいのか分からなくても、過去にはケーススタディが山ほどあります。その知識を実際に役立てる力が「歴史思考」です。(2022年4月2日公開予定の記事に続く)

【第1回】「どうして、教養がない人ほど悩み込んでしまうのか」

会社が資金ショート!「歴史思考」が人生の危機を救ってくれた深井龍之介(ふかい・りゅうのすけ)
株式会社COTEN代表取締役CEO
島根県出雲市出身。大学卒業後、大手電機メーカーや複数のベンチャー企業の取締役や社外取締役などを経て、2016年に株式会社COTENを設立。「メタ認知を高めるきっかけを提供する」をミッションに掲げ、3500年分の世界史情報を体系的に整理。数百冊の本を読んで初めて分かるような社会や人間の傾向・行動パターンを、誰もが抽出可能にする「世界史データベース」を開発中。COTENの広報活動として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。2019年には「JAPAN PODCAST AWARDS2019」で大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcastランキング1位を獲得。
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