コロナ禍が3年目に突入し、多くの業界や企業のビジネスをいまだに揺さぶり続けている。その対応力の差によって企業の業績は、勝ち組と負け組の格差が拡大している。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本、京王電鉄などの「鉄道」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
JR3社は前年同期比で増収
京王電鉄、東急は減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道業界5社。対象期間は21年10~12月の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・JR東海
増収率:12.9%(四半期の売上高2994億円)
・JR東日本
増収率:16.6%(四半期の売上高6050億円)
・JR西日本
増収率:17.5%(四半期の売上高2932億円)
・京王電鉄
増収率:マイナス12.8%(四半期の営業収益805億円)
・東急
増収率:マイナス16.0%(四半期の営業収益2114億円)
※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っている。JR西日本は前年同期の売上高と増収率に同変更を遡及適応しているため、次ページに記載する四半期増収率(前年同期比)については22年3月期第1四半期以降のみを掲載している。その他4社は同変更を遡及適応していないため、各社の開示方法に準じて掲載している。
鉄道5社ではJR東海、JR東日本、JR西日本が前年同期比で増収、京王電鉄、東急が減収となった。前年同期比の増収率では明暗が分かれた5社。その要因は何だったのか。
また、鉄道各社は新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けた。この影響はコロナ禍3年目に突入した今も続いている。コロナ禍前の実績と比較すると、その深刻な状況が浮かび上がる。
次ページ以降では各社の増収率の推移を紹介するとともに、詳しく解説する。